Autopsy imaging(Ai)-死後画像診断について |
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長崎大学
村上 友則 |
Autopsy imaging (Ai)とは死体の画像診断です。Aiという言葉や概念は、今は作家として有名となった海堂尊さんが提唱したものです(1999年頃)。彼は病理医としての立場から、死亡時医学検索の重要性を主張しました。2003年8月にはAi学会が設立され、2007年には千葉大学にAiセンターが設立されました。海外においても2000年以降死体の画像診断の有用性が認知されるようになりました。この流れ以外にも日本には、1895年筑波メディカルセンター(救急センター)での死後CTをはじめとして、来院時心肺停止症例の死因検索としてAiが行われていました。
Aiの種類ですが、異状死体を対象としたAi以外にも、病院内の内因死に対してもAiが行われています。そして、先ほど述べたように異状死体か否か判断が難しい、救急外来での来院時心肺停止症例においても、Aiが行われています。
Aiの問題点ですが、現状のシステムでは、画像診断に関する費用の出どころがない事が挙げられます。そして、撮影の専門家、読影の専門家が必ずしもかかわっていない現状があります。
Aiの将来性についてですが、やはり異状死の解剖率が著しく低い日本において、Aiを取り込んだ死因究明制度が確立すると、死因不明社会と言われる現状から離脱出来る可能性があります。こうなることで、法医解剖、病理解剖の専門家以外に、画像診断の専門家が死因究明に関わることになり、これまで問題視されていたマンパワー不足が改善される可能性があります。
最後にまとめますと、「Aiとは、死体の画像診断である。」「Aiは画像診断の一種であるから、全身の画像診断が可能な専門家-画像診断専門医(放射線科医)による読影が望ましい。」「今後、異状死の死因究明において、画像診断(Ai)のはたす役割は大きく、解剖や検体検査にあたる法医学者のみならす、画像診断医(放射線科医)の役割も大きいと考えられる。」この3点に要約されます。実際の講演では、Ai画像も供覧し、Aiの実際を見て頂きます。 |
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