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福岡大学
久保 真一 |
医学部を卒業して、医師として法医学の世界に足を踏み込む時、その先にどのような道があるのか。医師として法医学にどのように取り組めば良いのか。この2つを知っておく、知ることが、社会の期待に応えることのできる法医学の医師を目指す上で重要です。その行程表、道しるべとなるのがキャリアパスです。法医学に限らず、医師の世界では、常に必要な知識と技術の習得を重ねていかなければなりません。その結果として、様々な資格や身分(地位とは若干違いますが)等を身に付けていくことになります。
法医学の世界で医師である以上、まずは死体検案や解剖を独立して行えるようにならなければいけません。即ち、検案医、執刀医としての知識と技術の習得が必須です。そのためには、死体解剖資格、死体検案認定医、法医認定医、法医指導医の資格取得を目指すことになります。
また、研究者として考えると、学位(医学博士)は必須でしょうし、海外留学もキャリアアップには欠かせません。そのためには、当然ですが、語学が必要ですし、できれば英語だけでなくあと一つ言語を身につけることができれば、学術活動の幅は広がるでしょう。当然ですが、研究活動として学会発表、論文発表を重ねるための不断の努力も欠かせません。その過程で、学術活動に対する表彰を目指すことも、目標として良いかもしれません。また、研究に対する別の評価として各種研究費の獲得も、自信に繋がることでしょう。
少し意味あいは違うかも知れませんが、所属する学会の中でその活動に応じて得られる評議員等の身分も目標と成り得るかもしれません。このような知識や技術、資格や身分を、その時期に応じて修得、獲得しながら、法医学の医師としてのキャリアアップを図ることになります。
一方、知識と技術ばかりでなく、法医学にどのように取り組むべきか、法医学者としての職務規範、姿勢、考え方を身につける必要があります。この点は、法医学者の根幹であり最も重要なことと考えます。しかし、目に見える形(資格や身分等)で得られるものではありません。法医学の先人たちの教えを参考として、自ら体得すべきことでしょう。 |
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