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琉球大学
二宮 賢司 |
私は子供の頃、おそらくは人並みに色々な事に興味を引かれていました。その様々な、かつ漠然とした興味の中で取捨選択をした、あるいはされた結果、今のところ沖縄に住み、医学系の教室の大学院生をやっています。大学の教室なので、当然これから医学の一分野である法医学の、その更に細分化された一分野を研究していくことになります。これはごく普通の話で、別段異常なことをしているわけでも、損な事をしているわけでもありません。しかし、多くの昔から興味を持っていたことをふるいにかけてきたのも事実です。その点、法医学教室という場所は、比較的広い業務内容を持っています。また、そのような面から考えると、実務の中で医療関係者以外と接し、一緒に仕事をする機会が比較的多いのも特長だといえます。単に教室と解剖室を行き来するだけでなく、時に外に出ることがあるのも少々変わった点でしょう。勿論好みもあるでしょうが、実務の多様さや研究分野の広さは、自分の複数ある、場合によっては医学という分野を選ぶことで遠くなってしまった様々な物事に対する興味を満足させうる、といえるのではないでしょうか。
こういった特徴一つ一つは他分野で当てはまるものがない、というわけではありません。また、仕事というものは何も一つの職場に限ってしかやらない、というわけでもないでしょう。しかし、法医学という分野はそういった色々なことと関わる、ということがごく自然に行われている場所です。つまり、法医学は他の分野と比べ、医学を通してより多くの世界を体験させてくれる分野である、といえると思います。この点が私にとっての法医学の魅力の一つであり、私が法医を選んだ主たる理由は端的にいえば、色々あって面白そうだから、ということになるでしょう。 |
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