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山口大学
白鳥 彩子 |
私が法医学を専攻した理由は、好きなことが法医学にあった、ということに尽きます。身内や知り合いには医療・警察等の関係者もおらず、これまた身内や知り合いの死に接することもなかった私にとって、日常生活で法医学の存在を知る機会は皆無でしたが、‘好きなこと’が法医学に繋がった瞬間は、人生の方向を決めた劇的なものでした。
小学校高学年の頃から、“人のなかみ”や“生き死に”への興味が伸び、人体模型や人体解剖の本がとても面白く、理科の小動物解剖実習へのやる気も凄まじいものでした。一方で、真実を追求するという鑑識捜査やFBI科学捜査ドキュメントにはまる中で検死官の存在を知り、それまで漠然であった自分の将来像が少しずつ鮮明になりました。しかし日本にはいわゆる検死官はおらず、鑑識では人をみられない、なにより警察は死を考えるときに犯罪に偏りすぎていることに違和感を覚えていました。人体そのものから死に関わり、生死について常に考えざるを得ない職種につきたいと考えていたときに、あるドラマで法医学の存在を知りました。一つの死について、単に人体そのものだけでなく死の状況やその半生までもみるという、まさに自分の想像する職業があったことに感激し、それ以降、法医学のとりことなってしまいました。
このきっかけはただのミーハーともいえるわけですが、その後ドラマと現実は当然異なることだらけで、現在(以前から)法医学や検死を取り巻く環境は問題が山積みなことを知っても突っ走ってこられたのは、根底に前述の想いがあったからだと思います。周囲にはよく「なぜ法医学(なんか)にいくのか」と様々な反応をされてきましたが、これは私の愉しみや刺激となり、変革意欲を掻き立ててくれました。
皆さんは法医学の存在を既に知り、そして興味も高いようです。その興味が将来の職業として考えられるまでになるように、今後少しでもサポートできたら嬉しく思います。 |
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