かつては、法医学を学ぶ上で、臨床経験の必要性についてしばしば話題となることがありました。さらには、必要だとすれば、何科が重要かという点が問われることもありました。しかし、新研修制度が実施されている現在では、そのような議論にはほとんど意味は無くなりました。新制度では、臨床医として仕事をするには、スーパーローテートの研修を終了し2度目の医籍登録が必要となります。一方、法医学の道を選択し、臨床医としての仕事をしなければ、臨床研修を受ける必要が無いのではと言う声も一部にはあるようです。
ここでは、臨床研修、およびその後の臨床経験が、法医学にとっていかなるものかと言うことを考えてみたいと思います。
法医学という分野は、臨床から切り離されたものではないと言うのが重要な点であると考えます。生前と死後は連続しているし、また、生体も法医学の対象となります。臨床医学との連携が有用な場合もあり、その為に様々なことを経験しておくことには意味があります。医学のみならず、文化や風習、生活など人間社会の様々な事象も法医学の対象となります。
私自身は、「スーパーローテート」の研修を行いました。この研修は、非常に有意義であり、現在の仕事にも生活にもいろいろと役立っています。今回は、研修内容の紹介を含め、その後の法医学活動において役立つ臨床経験について、臨床と法医学の相違などと共に話題にさせて頂きます。少しでも進路として法医学を考える機会になればと思います。 |
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