診療内容(診療グループ):乳腺・内分泌外科
乳腺内分泌外科の特徴
 当グループでは乳腺疾患(乳癌、乳腺良性腫瘍など)、甲状腺疾患(甲状腺癌、バセドウ病など)、副甲状腺疾患(良性腫瘍、癌)の診療を担当しております。毎週月曜に放射線科や病理診断科と術前術後症例のカンファレンス、水曜に新患症例や治療方針に悩む症例のカンファレンスや内分泌内科とのカンファレンスを行っております。若年の方、今後妊娠を希望されるご年齢の患者様であれば産婦人科とも連携して治療方針を検討しております。また、手術の際に再建術など必要となる際には形成外科とも連携してすすめてまいります。あらゆる副作用の可能性がある薬剤を使用するときには、専門の科に相談して治療をすすめていきます。
 また、未来の医療を担う医学生の外科教育にも力を入れております。学生同席の同意をいただける患者様の外来や病棟での説明・処置の際には積極的に見学をさせていただいております。

 また、大学病院内では各種研究を行っており、外部での臨床研究にも参加しております。患者様の治療に大きな影響が及ばない範囲で研究へのご協力をお願いしております。何卒ご理解いただけますと幸いです。
乳腺外科
 乳癌は、今後も患者数の増加が予想されます。中には術後再発や治療が困難な症例もあり、悩むこともあるのではないかと思います。我々は大学病院の特徴を最大限に活かし、乳癌の術前・術後の治療に加え再発時の対応、治療方法の検討を行います。症例によっては手術時に摘出した癌の組織を用いて術後の再発リスクを予測し、抗癌剤治療の必要性を判断するための遺伝子検査(オンコタイプDX)を提案する場合があります。様々な科がそろった病院でないと使用が難しい薬剤(免疫チェックポイント阻害剤など)にも対応しておりますので、薬剤使用を検討する際などもご相談ください。副作用への対応が難しい薬剤は、使用できる病院が限られていることもあります。大学病院は多くの分野の専門医が在籍していますので、副作用への対応を慎重に行うことで治療選択肢を増やすことに努めております。また、手術前に化学療法を行うことで、癌を小さくすることができる場合もあります。癌のタイプにより、高い効果が期待できる治療方法を選択します。

 遺伝学的検査につきましても対応しておりますので、当院遺伝カウンセリング部門に直接、もしくは当科へご相談ください。下記もぜひご覧ください。
※参考:JOHBOC(日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構)
    遺伝性乳がん卵巣がんをご理解いただくために(パンフレット

 また、終末期を迎える患者様とそのご家族と寄り添い、どのように人生を過ごしていきたいと考えているかなどもお伺いした上で、多職種間で連携をとり、地域の医療を担う先生方と密にコミュニケーションをとりながら診療連携をさせていただいております。様々な状態の患者様を、地域全体で支えることを目指しております。現在多くの先生方からお力添え、ご助言を頂いております。今後も先生方と共に、患者様お1人お1人によりよい医療を提供していきたいと考えております。

内分泌外科
【対象疾患】
 当科では内分泌外科専門医のもと、専門的な外科治療を行っております。
主な対象疾患は以下になります。
  1. (1)良性疾患
       バセドウ病, 甲状腺良性腫瘍(腺腫様甲状腺腫・濾胞性腫瘍など), 機能性甲状腺結節, 副甲状腺良性腫瘍
      (原発性副甲状腺機能亢進症を含む)

  2. (2)悪性疾患
       甲状腺癌(乳頭癌, 濾胞癌, 髄様癌, 低分化癌, 未分化癌など), 副甲状腺癌
 内分泌内科・当科・病理診断科合同で、診断や治療方針を決定しています。手術の際は神経刺激モニタリング装置を用いて、反回神経・上喉頭神経外枝を温存し、根治度・機能温存の高い手術を行っています。特に甲状腺癌については、当院内分泌内科と連携して放射線ヨウ素内用療法や分子標的薬を用いた薬物治療も含め、集学的治療を行っています。
 気管・血管への浸潤や縦隔に進展している進行甲状腺癌に対しても、当科呼吸器外科班と連携し拡大手術を行っております。

 上記疾患を疑う患者様がいらっしゃいましたら、当科にご相談・ご紹介ください。当院地域医療連携室でのご予約をお願いしております。月・水・金曜日に乳腺内分泌外科チームの医師が新患を受け付けております。出来る限り速やかな診療ができるよう努めておりますが、お時間をいただく場合もございます。何卒ご理解、ご協力をいただけますと幸いでございます。

 外来予約枠がいっぱいでも、外来日でなくても新患や緊急患者については随時受け付けますので電話でご一報いただければ幸いです。(地域医療センター:095-819-7930 か 腫瘍外科医局:095-819-7304)

 また外来患者の増加に伴い、術後フォローアップや術後補助化学療法、緩和医療について近隣病院・かかりつけ医などと地域連携を図っております。ご多忙中恐れ入りますが、ご理解ご協力をお願い申し上げます。
研究内容
 基礎医学教室などの協力により、乳癌の遺伝子に関する研究も行っております。また、九州・全国の臨床試験にも積極的に参加しており協力していただける患者さんにはご協力をお願いしております。
● マイクロアレイによる乳癌発症原因遺伝子解析
● センチネルリンパ節生検の新規迅速診断の開発
● 3Dモデルの甲状腺腫瘍診断への活用
● 甲状腺癌に対するセンチネルリンパ節生検の確立
● p53-binding protein 1(53BP1)蛍光免疫染色を利用した甲状腺濾胞性腫瘍の術前診断