女性外科医を目指す皆さんへ
乳腺内分泌グループ 松本 恵 |
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経 歴 | |
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1996年 | 長崎大学医学部卒業後、長崎大学第1外科(現 腫瘍外科)入局 国立長崎中央病院(現 長崎医療センター)、北九州市立八幡病院、国立東佐賀病院(現 国立病院機構東佐賀病院、国立川棚病院(現 国立病院機構長崎川棚医療センター)で勤務 |
2003年 | 長崎大学腫瘍外科にて研究生となる |
2005年 | 長女出産 |
2007年 | 学位取得 長男出産 |
2008年〜2010年 | 夫の留学によりアメリカノースカロライナ州で専業主婦となる |
2010年 | 次男出産 |
2011年 | 長崎大学腫瘍外科にて復職 現在に至る |
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もともと結婚・出産・育児など想像もしないまま、卒業と同時に『かっこいい』という安易な理由で外科医の仲間入りをしました。外科医として働く上で『女性であること』で問題になることはほとんどありません。しかし妊娠・出産という経験は女性だけにやってくるイベントです。若い頃はこの時のことを想像して、不安になったり心配になったりすると思います。しかし、想像はあくまでも想像でしかありません。実際困難に遭遇した時にどのように解決していくか、その方法をできるだけたくさん持ち、乗り越える体力を培うことが重要だと思います。
当院ではメディカルワークライフバランスセンターが設立され、男女問わず医師が満足のいく働き方ができるようなサポートを行っています。当科では既にママさん外科医が他にも活躍しており、一緒に働く寛大な医師達のサポートのもと診療や研究に没頭できる環境があります。あなたも女性外科医、目指しませんか?
最後に、長い医師人生のなかでいろんな局面がやってきます。辞めてしまいたい時もあるかもしれません。医師という職業はその時々に合ったいろいろな働き方を選べます。首の皮一枚でも医療と繋がり続けてください、いつかまた自分が満足のいく働き方ができる日が必ず来ます。
畑地 登志子 (平成17年卒) |
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「女性医師は波乱万丈の女の人生には良い仕事!」
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ところが人生は不思議なもので、縁あって医局人事で私の故郷で働いていた夫と結婚し、夫の次の人事と共に長崎大学腫瘍外科に中途入局させていただきました。そして大学病院や市中病院で経験を積ませていただき、学会発表や論文執筆、外科専門医、乳腺専門医取得など希望していたキャリアを継続することができました。
幸運にも子供を授かり、出産しました。当時は乳腺専門医を目指して習練中でまだまだ手術もしたいし、病棟も受け持ちたかったので、上司や医局と相談して時短勤務は選ばす、元の職場に常勤で復帰させていただきました。
そして現在は夫の米国留学に帯同して休職中です。この界隈には私と同じようにポスドク研究者の家族として帯同している女性が世界中から集まっており、ママ友としてお付き合いしています。ママ友のかなり多くは名門大学を卒業して、研究者や大企業で働いていた人が多く、子育てや配偶者の転勤を機に退職しています。そして、復職はかなり厳いらしいとのことです。医師免許をもっている私をすごくうらやましがります。
若いころ想像もしていなかった波乱万丈の人生になり、故郷からだんだん離れていき、時差が14時間もある遠いところで生活していますが、「医師免許」とこれまで指導していただいた先輩方、人事を配慮してくださる医局や、同じチームで働く理解ある上司や同僚のおかげで、私は希望のキャリアを継続することができました。そして、帰国後もまた働けると希望を持つことができます。
現在国の政策として女性の社会進出やライフワークバランスなどが声高に叫ばれていますが、実際は夫の転勤や、出産・育児を乗り越えキャリアを継続できる女性は極わずかです。女性医師はそれを可能にする数少ない職業であると思います。しかも、自分の興味ある分野を選択できて、その道を追求でき、人に貢献でき、感謝もされる素晴らしい仕事だと思います。