長崎大学医学部 解剖学第一教室

教育活動

<担当講義・実習科目>
科目名 学年 担当教官
「神経・感覚器系」講義 医学部2年前期
「脳解剖実習」 医学部2年前期 森・松本・村井
「医学ゼミ」(心の神経解剖学) 医学部3年前期
「リサーチセミナー」 医学部3年後期 森・松本・村井
人間科学科目(脳と心) 全学教育/教養教育
形態制御解析学特論 大学院
形態制御解析学演習 大学院 森・松本・村井
形態制御解析学実習 大学院 森・松本・村井
 
<学生受賞履歴>

小島 丈夫君 平成23年度リサーチセミナー合同発表会優秀賞受賞
冠地 信和君 平成21年度リサーチセミナー合同発表会優秀賞受賞

 
<実習科目紹介>
◆神経・感覚器系 II(神経解剖学/実習)
ご遺体の脳を系統的に解剖することでヒトの脳全体の構造を学習します。
講義で得た知識を実際の脳で具現化することでよりいっそう理解を深めます。しかし、神経解剖学のテキストの図には色の区別がありますが、実際の脳にはそれがなく、また各領域の境界も不明確です。ここに脳の理解の難しさがあります。
講義の復習をしっかりとし、実習の予習を怠らずに、この難しさを乗り越えて欲しいものです。この実習では、人間の崇高な精神を宿した脳を「解剖」することで、人間の尊厳を改めて意識する機会にもなります。
脳解剖は多くの医学生にとって一度限りの経験となります。「一期一会」。しっかりとした心をもって実習に臨んで下さい。
 
 
◆医学ゼミ「心の神経解剖学」
心は脳に育まれる。脳には形があり物質としてのよりどころがある。しかし、心には形がなく、実体が見えない。心は脳の中にどのように形成されるのか?
今、心の科学は未熟な学問ですが、神経解剖の立場から脳の中の心の回路を探ります。科学的疑問がわいた時、それに関連する研究の世界動向はどうなっているのか?どうしたら過去に知られていない新しい問題に行き着くのか?ユニークな、オリジナルな思考へどう導くのか?ここでは、研究の前段階となる、考えるプロセスをトレーニングすることに重きをおいて指導します。
そして、今一歩、脳の中での心の要素の回路の理解が深まることを目指します。
 
 
◆リサーチセミナー
よりよい医療を提供する、あるいはよりよい医師をめざす、そういう志のある医学生であれば、しっかりとした「研究意欲」あるいは「研究心」を持たねばなりません。
現状に甘んじず、今できないことを将来自分が可能とさせる。そのためには若い時期にしっかりとした「リサーチマインド」を育むことが大切です。
3年生後期の2?3ヶ月の短い期間ですが、他の勉学に遮られることなく、自分独自のテーマに集中して「実験研究」の基礎を学びます。どんな小さなことであれ、自分の手と目と頭を動かして自ら何かを「発見」する。その姿勢が明日の医学を支えるのです。
この教室では神経の機能性と老化に関わる研究を進めています。脳に興味のある学生はホームページ情報を参照して考えてみて下さい。私たち教官はいつでもテーマの相談に応じます。
 
 
◆心の脳科学入門「物質から心の科学」(全学教育/教養教育科目)
医学部生のみならずすべての学部に学ぶ大学生にとって、それぞれの分野の高等教育科目をマスターすることは無論重要ですが、それと並行して、よき人間、よき教養人となることも、同等に大切なことです。
最近の過密社会の中で「こころ」のあり方がさまざまに論じられますが、ここでは「脳科学」の立場から「人間の心」をどう捉えるかを学び、よき大人としての「心」と「人間性」の成長の一助とすることを目指します。
 
 
◆形態制御解析学(特論・演習・実習)(大学院教育科目)
脳の機能性を解剖学あるいは神経形態学の立場から研究しようとすると、それは神経細胞(ニューロン)の樹状突起やシナプスの「形態」をどう「制御」するかを研究することが最も重要となります。これは言い換えると神経の可塑性(プラスティシティー)の構造基盤を探る、ということでもあります。
私たちはすでにShc系のシグナル伝達分子が神経の構造可塑性に関わり、ひいては機能的可塑性にも関わることを明らかにしていますが、その詳細なメカニズムやその周辺分子の動きなど、まだまだ研究すべきことはたくさんあります。神経の形態制御に興味のある大学院生への研究指導としては、この視点に重きをおきながらも、面白い、重要だ、と自分から思える研究テーマに挑戦し、実施し、成就させる方向で進めていきます。