研究|長崎大学医学部 生化学教室

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研究

癌化のエピジェネティクス

種々の癌でヒストンH2Aのリン酸化が亢進していることを明らかにしました。ヒストンのリン酸化が癌を引き起こしているのか、癌においてリン酸化が亢進しているのかそのメカニズムを解明しています.

ヒストンH2AC末端のリン酸化が亢進している培養細胞を用いてヒストンH2AC末端の翻訳後修飾の相互クロストークがゲノムレベルで行われているか否か、クロマチン免疫沈降と沈降物の配列決定により明らかにした。この実験によりヒストンH2AC末端の翻訳後修飾119番目トレオニンのリン酸化と118番目のリジン残基ユビキチン化が相互のクロストークにより遺伝子発現を制御していることが明らかとなりました.このリン酸化とユビキチン化の調節の撹乱が癌化を引き起こすことを証明中です.

培養細胞にヒストンH2AC末端リン酸化を模倣したヒストンH2A T120Dや細胞分化に必須なユビキチン化部位に変異を導入したヒストンH2A K119Rなどの変異ヒストンを導入し過剰に発現することにより内因性のヒストンの約50%を置換することができます.この変異ヒストン過剰発現による表現形を調べると、NIH3T3に導入すると下図の如くトランスフォームしヌードマウスに腫瘍を形成しました.遺伝子転写かく乱(エピジェネティックな不安定性)による癌化機構の一端を証明したものです.ノックダウンの手技、遺伝子解析などを学部学生に教授しながら相原仁が中心となりプロジェクトが進行中です.

(文責;長崎大学医学部生化学教室 伊藤敬)

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