ごあいさつ
 
コラム  
 
 
(長崎大学医学部附属病院 院内学級『たんぽぽ学級』に寄せて)
『たんぽぽのように生きて』
(平成12年1月)
長崎大学医学部附属病院 小児科診療科長 森内浩幸

 今年は20世紀最後の年になりますが、たんぽぽ学級も丸10年を過ぎ新しいdecadeを迎えます。

 春の訪れを告げる鮮やかな程に黄色いたんぽぽの花は、暖かい日だまりのような優しさに加え、『ライオンの歯』という西洋で付けられた名前が相応しいくらいに どこか逞しささえ感じさせます。人生の早春である小児期に病気の為に他のお友達と一緒に遊んだり勉強したりする事ができなくなってしまった子ども達は、この たんぽぽ学級で、自分の苦しさやつらさを通じて人への優しさや思いやりを学び、病気と戦うことを通じて逞しさを身に付けてきました。この10年間、こうして育っていった子ども達は、まるで綿帽子のように風にのって社会へと或いはもっと遠い世界へと巣立っていきました。

 たんぽぽがこうして健やかに育っていく為には、暖かい日射しとなる愛情と豊かな土壌となる環境が必要です。家族の深い愛情やお友達の優しさ、それに献身的な 教師の先生方やいろんな人達の精一杯の援助に負けないように、私達医療従事者もこの子達の為に力を注いでいかなければならないと思います。

 冬の寒さの中でも春の息吹きを感じ取り、暗闇の中でも曙の光りを見いだし、曇った日でも雲の上の太陽を仰いで、この子達がたんぽぽのように優しく逞しく生きていってくれる事を心から願います。頑張れ、たんぽぽ達!


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