PKDはその特徴的症状によって診断されます。すなわち急激な恣意的動作によって誘発されるジストニア、アテトーシス、バリスムスなどが一日に頻回に見られるということです。好発部位は四肢であり体幹部のけいれんが及ぶことは少ない。意識を失うことはありません。この発作は通常短く(1分以内)、神経学な所見に乏しく治療薬であるcarbamazepineに反応します。発作の頻度は1日に100回以上に及ぶこともあり社会生活に支障を来します。通常は成人するにつれ発作の頻度は軽減することが多いです。

基本的に小児期に周囲によって気づかれることが多く、成人期に自覚して診断に至ることは少ないです。しかし私たちの2009年のアンケート結果にもあったように、解離性障害のような精神疾患や、てんかん発作と見なされている場合もあえます。心因反応 (解離性障害、と同義。広義ではヒステリーとも観察される) を疑われて加療を受けていた症例があり、正確な診断が重要です。

PRRT2遺伝子変異がPKDの主たる原因と判明したもののPRRT2変異のない患者さんもおります。またこのPRRT2遺伝子は単にPKDだけではなく様々な神経疾患の原因となっていることが報告され注目を浴びています。患者さんの臨床症状や遺伝子機能をもとに、今後は根本的な治療法を開発したいと思っています。


  発作性運動誘発性舞踏アテトーゼ(PKC)の有効治療薬開発のための分子メカニズムの解明 
  長崎大学大学院医歯薬総合研究科 医療科学専攻展開医療科学講座 精神神経科学
  黒滝 直弘(研究代表)