研究業績:2023(令和5)年度
研究成果・受賞報告
光成健輔先生の論文がTransplantation Proceedingsにアクセプトされました。
題名:
Efficacy and Safety of Brachytherapy for Localized Prostate Cancer in Renal Transplant Recipients
URL:
https://doi.org/10.1016/j.transproceed.2023.12.012
筆者(指導者)よりコメント:
腎移植レシピエントにおける限局性前立腺癌に対するBrachytherapyはロボット支援手術以外の有用な治療選択肢のひとつです。この論文では、腎移植レシピエントにおけるBrachytherapyの有効性および安全性について検討しました。
(光成健輔)
松尾朋博先生の論文が臨床泌尿器科78巻2号にアクセプトされました。
題名:
<夜間頻尿の病因・病態に基づいた治療戦略>
多尿、夜間多尿に対する治療戦略
筆者(指導者)よりコメント:
この論文は、高齢化に伴って増加する夜間頻尿・夜間多尿に対する治療法についてのものです。
飲水制限を含んだ食事療法や行動療法を含めた行動療法だけでなく、薬物療法の使用方法についても最新のエビデンスを取り込んで記載しました。
泌尿器科ではない先生方にもわかりやすい構成にいたしました。
ぜひご一読いただければ幸いです。
(松尾朋博)
松尾朋博先生の論文がInternational Journal of Urologyにアクセプトされました。
題名:
Editorial Comments on The harmful effects of overlooking acute bacterial prostatitis
筆者(指導者)よりコメント:
この論文は、International Journal of Urologyに採択された論文に対するコメントです。
元の論文の内容は、泌尿器科よりも、非泌尿器科医の方が急性細菌性前立腺炎患者に対して、ファーストコンタクトをとる可能性が高いといった、社会的背景を含め、診断、治療、専門機関への紹介のタイミングの詳細をレビューした論文でした。その論文に対する私なりの考えを、泌尿器科専門医としての立場を含めコメントしています。
ご一読いただくと幸いです。
(松尾朋博)
本多弘幸先生の論文が西日本泌尿器科 第86巻 第2号にアクセプトされました。
題名:
尿膜管由来の小細胞神経内分泌癌の一例
URL:
https://wjua.jp/cms/wp-content/uploads/2023/12/8602_04.pdf
筆者(指導者)よりコメント:
今回は尿膜管由来の小細胞癌の一例について症例報告を行いました。尿膜管由来の小細胞癌の報告は本邦では1例目であり、大変貴重な症例を経験させていただきました。今後同様の病態を呈した患者の診断・治療の一助となれば幸いです。
本論文の作成にあたり、松尾朋博先生をはじめ、大変多くの方のお力添えを賜りました。この場を借りて深く感謝申し上げます。
(本多弘幸)
非常に珍しい症例でしたが、この論文の作成にあたり、参考資料の検索およびその解釈など、全てにおいて、自主的に対応していました。感心しました。1つ1つの症例を大事にしつつ、今後は臨床統計などの研究も進めて行ってほしいと思います。期待しています。
(指導:松尾朋博)
第124回 九州泌尿器科連合地方会学術集会にて最優秀演題賞を受賞しました。
天本先生よりコメント:
2023年9月30日に行われた第124回九州泌尿器科連合地方会学術集会にて、「診断上興味のある症例(尿道)」について発表させていただきました。泌尿器科医としては初めての学会発表でしたが、なんとか無事に発表を終えることができ、最優秀演題賞に選出頂きました。ご指導いただきました先生方にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。また、会場ではそれぞれの症例について活発な議論が行われ、大変刺激を受けました。この経験を活かし、さらに邁進して参りたいと思います。
(天本広太)
松島俊樹先生の論文がIJU Case Reportsにアクセプトされました。
題名:
Partial Penectomy for Severe Penile Ulceration Caused by Cholesterol Crystal Embolization
URL:
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/iju5.12631
筆者(指導者)よりコメント:
今回、私たちはコレステロール結晶塞栓症による陰茎潰瘍の1例に対して陰茎部分切除を行った症例報告を行いました。コレステロール結晶塞栓症による陰茎潰瘍は稀な症例であり、この貴重な経験を通じて多くの知見を得ることができました。同様の病態を呈した場合、予後が不良であることから、今後の診断と治療において一助となれば幸いです。また、初めての論文執筆および英語での作成においては、最初は戸惑うこともありましたが、光成健輔先生をはじめとする先生方からの多くのサポートを受け、乗り越えることができました。この場を借りて深く感謝申し上げます。
(松島俊樹)
当初、松島先生は和文誌への投稿を予定していましたが、同期の柿田先生が英文誌への挑戦をしていたことから、英文誌での投稿を提案させていただきました。松島先生もその提案に賛同し、英文誌への投稿を決意しました。アクセプトされるまでの道のりは決して容易ではなかったと思いますが、松島先生の努力が実を結び、論文がアクセプトされた瞬間の喜びの表情を見て、私自身も大きな活力を得ることができました。これからも松島先生には更なる成果を積み重ねていただきたいと思います。頑張ってください。
(指導:光成健輔)
土山彩華先生の論文がInternational Cancer Conference Journalにアクセプトされました。
題名:
Sarcomatoid renal cell carcinoma with an inferior vena cava tumor thrombus that was completely resected by robot assisted laparoscopic radical nephrectomy after neoadjuvant therapy nivolumab plus ipilimumab: a case report
URL:
筆者
Ayaka Tsuchiyama · Kojiro Ohba · Hiromi Nakanishi · Takuji Yasuda · Yuichiro Nakamura · Hirokazu Kurohama・Kensuke Mitsunari · Tomohiro Matsuo · Yasushi Mochizuki · Ryoichi Imamura
掲載
International Cancer Conference Journal
筆者よりコメント:
初めての症例報告、しかも英語での発表でわからないことだらけでしたが、大庭先生はじめ先輩方のご尽力のおかげでなんとかアクセプトに至ることができとても嬉しいです。心より感謝申し上げます。
(土山彩華)
土山先生が、初の英語論文の作成へ取り組み、みごとアクセプトされました。論文掲載できたことで、臨床経験を世界へ公表する事の大変さや重要性をかみしめていることと思います。執筆においては何度も修正して頑張ったので、その成果が実を結んで良かったです。今後の大学院での研究に活かせることと思います。引き続き頑張ってください。
(指導:大庭康司郎)
柿田聖太先生の論文がIJU Case Reportsにアクセプトされました。
題名:
Evans syndrome during pembrolizumab for upper urinary tract cancer
URL:
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/iju5.12609
筆者(指導者)よりコメント:
今回は尿路上皮癌に対してペムブロリズマブ投与中に起こったEvans症候群について症例報告を行いました。尿路上皮癌に対する免疫チェックポイント阻害薬投与中にEvans症候群をきたした報告はこれまでになく、大変貴重な症例を経験させていただきました。今後同様の病態を呈した患者の診断・治療の一助となれば幸いです。
本論文の作成にあたり、松尾朋博先生をはじめ、大変多くの方のお力添えを賜りました。この場を借りて深く感謝申し上げます。
(柿田聖太)
柿田先生にとって初めての論文が英語での症例報告になりました。学会発表から論文の執筆に至るまで、スマートにかつスピーディーに対応され非常に感心しました。今後も大学院生としてますます精進されると思います。期待しています。いつまでも患者さん目線で頑張ってください。
(松尾朋博)
大庭康司郎先生の論文が『International Journal of Urology』誌にアクセプトされました。
題名:
Comprehensive investigation of clinicopathological and immunological features to determine prognostic impact in metastatic renal cell carcinoma: the JEWEL study
筆者:
大庭康司郎(長崎大学病院 泌尿器科・腎移植外科)
URL:
Comprehensive investigation of clinicopathological and immunological features to determine prognostic impact in metastatic renal cell carcinoma: The JEWEL study - PubMed (nih.gov)
JEWEL identified sex, age, ECOG PS, liver and bone metastases, CRP levels, WHO/ISUP grade, LDH, and albumin levels as key prognostic factors for OS after first-line TKI therapy for mRCC.
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
筆者よりコメント:
日本の他施設共同研究として行ったARCHERY studyに770名が登録され、そのデータセット中から、1L目にTKIを使用した患者を抽出し、予後因子の特定を目指した付随研究(JEWEL study)です。1L目のTKI後の予後因子として、性別、年齢、PS、肝・骨転移の有無、CRP、ISUP grade、LDH、アルブミンが重要であると結論付けました。多くの症例を集積して、IO時代だからこそ知っておきたいTKI治療の予後因子を、日本人のエビデンスとして出せたことを嬉しく思います。本研究に携わった全ての方に感謝申し上げます。
(大庭康司郎)
大庭康司郎先生の論文が『臨床泌尿器科』誌にアクセプトされました。
題名:
【どこまで変わるの? 腎細胞癌診療の進歩】薬物治療 複合免疫療法 アベルマブ+アキシチニブ/ニボルマブ+カボザンチニブ
筆者:
大庭康司郎(長崎大学病院 泌尿器科・腎移植外科)
掲載:
臨床泌尿器科(0385-2393)77巻5号 Page372-377(2023.04)
筆者よりコメント:
転移性腎癌に対する1次治療の選択肢は多岐にわたります。今回は、その中でもICI+TKIの併用による複合免疫療法の一部である、アベルマブ+アキシチニブ諜報と、ニボルマブ+カボザンチニブ療法について、エビデンスデータをもとに解説しました。
(大庭康司郎)
大庭康司郎先生の論文が『西日本泌尿器科』誌にアクセプトされました。
題名:
進行性腎癌に対する今後の周術期治療戦略
筆者:
大庭康司郎、中西裕美、中村裕一郎、光成健輔、松尾朋博、今村亮一
掲載:
西日本泌尿器科 85巻第4号:153-156, 2023 (4月号)
筆者よりコメント:
近年、進行性腎癌に対し、up-front CNを選択しないケースが散見され、薬物療法を先行する機会が増えてきました。また2022年より、再発リスクの高い腎癌に対し、術後再発予防を目的とした薬物療法が保険収載されました。このように、変遷する周術期腎癌治療に関して、最近発表されたエビデンスをもとに、今後の展望・課題について解説しました。
(大庭康司郎)
中村裕一郎先生のレビューが『病理と臨床』誌にアクセプトされました。
題名:
特集 前立腺癌 ー病理と臨床のクロストークー
「前立腺癌のがん遺伝子パネル検査ー現状と展望ー」
筆者:
中村裕一郎、光成健輔、松尾朋博、大庭康司郎、望月保志、今村亮一、有働恵美子、早田正和、古里文吾
掲載:
病理と臨床 第41巻第5号P0501-0505
筆者よりコメント:
前立腺癌におけるがん遺伝子パネル検査の現状と今後の展望についてまとめたものです。実際に前立腺癌のがん遺伝子パネル検査を行う現場の泌尿器科医の声についても掲載させて頂きました。このような貴重な機会を頂きました古里文吾先生をはじめとする当院ゲノム診療センターの先生方に感謝申し上げます。
(中村裕一郎)
松尾朋博先生の研究テーマが科研費に採択されました。
題名:
尿路癌におけるLATS-1/2の病理学的意義の解明と新たな治療戦略の構築
筆者(指導者)よりコメント:
研究責任者の松尾です。
本研究は、膀胱がんをはじめとした尿路がんの“ナゾ”を解き明かすべく立ち上げたものです。
全世界的にも尿路がんに関してはいまだ予後が芳しくなく、課題が多い疾患ですが、その中にあっても、我々長崎大学泌尿器科は多くの諸先輩方のご尽力によって、伝統的に尿路がんの研究にも精力を注ぎ、多くの実績を蓄積してきた経緯があります。
大学院生の力も借りながら、最終的には尿路がんの新たな治療戦略構築のための礎になる研究になるよう、精一杯努めます。
(松尾朋博)
松尾朋博先生の論文が『臨床泌尿器科』誌にアクセプトされました。
題名:
泌尿器内視鏡最新手術 前立腺・尿道の手術 経尿道的前立腺切除術
掲載:
臨床泌尿器科 第77巻第4号別冊P128-132
筆者(指導者)よりコメント:
論文執筆者の松尾です。この論文は、泌尿器科医として、必ず習得していおかなければいけない前立腺肥大症の患者さんに対する経尿道的前立腺切除術(TUR-P)について、まとめたものです。後期研修医、修錬医の先生にもわかりやすい記載に努め、動画も多く取り込んでいます。
多くの先生方の技術習得、スキルアップのお役に立てれば幸いです。
(松尾朋博)
松尾朋博先生の論文が『International Journal of Urology』誌(IF:2.896)にアクセプトされました。
題名:
Editorial Comments on Transvaginal ultrasonography for trigonitis diagnosis in women
URL:
https://doi.org/10.1111/iju.15175
筆者(指導者)よりコメント:
論文執筆者の松尾です。実臨床においても女性の慢性膀胱炎の患者さんの中には治療効果が不十分な方がいらっしゃいます。
Brazらは経腟エコーを行うことで得られた画像から、膀胱三角部の厚みとその部分の炎症が大きく関連していることを示しました。また彼らは、三角部の炎症を電気的に焼灼することで慢性膀胱炎に効果があったことにも言及しています(https://doi.org/10.1111/iju.15161)。
私が書いたものは彼らの論文について査読者としてのコメントです。我々の研究グループでも手術前の骨盤臓器脱の患者さんを対象に、経腟エコーを用いて膀胱三角部の厚みを評価し、「術後の過活動膀胱症状の改善と三角部の厚みとの間に関連があるのか」ということを調べた経験(LUTS Low Urin Tract Symptoms.2021;13:347-355)も踏まえ、彼らの研究内容をさらに発展すべく批評したものになります。
(松尾朋博)
松尾朋博先生の論文が『Prostate Journal』誌にアクセプトされました。
題名:
男性下部尿路症状と酸化ストレスとの関連およびその治療について
掲載:
Prostate Journal. 2023;10:48-54
筆者(指導者)よりコメント:
論文執筆者の松尾です。この雑誌は酒井英樹先生(長崎大学泌尿器科前教授、現長崎労災病院院長)が副編集長を務められていらっしゃることから、いつもより魂込めて執筆しました。
前立腺肥大症の発生には、もちろん年齢という因子が関与していることは事実ですが、それ以外の慢性的な生活習慣の乱れによるものも大きく影響します。・・・ということは男性のおしっこの症状はある程度予防が可能なことを示しているわけで、この論文は最新の研究内容を盛り込みながらその予防法、治療法について言及しています。
皆さんの知識のブラッシュアップにつながれば幸いです。
(松尾朋博)
上田康史先生の論文がMedicina誌(IF:2.948)にアクセプトされました。
題名:
The Relationship between the Presence of an Earlobe Crease and Overactive Bladder: A Cross-Sectional Case-Controlled Study
URL:
https://www.mdpi.com/1648-9144/59/3/476
筆者(指導者)よりコメント:
論文作成責任者の松尾です。この論文は、耳たぶのしわ(フランク徴候)と過活動膀胱との関連について検討しましたものです。フランク徴候は過活動膀胱の重大な危険因子の1つである心血管疾患と大きく関連していることが最近明らかになってきていますが、過活動膀胱でも同様のことが言えることがわかりました。
耳たぶにしわのある人は意外とご本人も意識していない過活動膀胱が存在しているかもしれません!
この研究は、特に大学院生の上田先生、伊藤先生の頑張りに支えられました。
これからも泌尿器科の“なぜ?”を患者さんにわかりやすくお伝えできる研究を進めて行きたいと思います。
(松尾朋博)
光成健輔先生の研究テーマ「ロボット支援手術チームが作る映像教材とトレーニング機器による教育システムの構築」が科研費・基盤研究Cに採択されました(2023年2月)。
題名:
ロボット支援手術チームが作る映像教材とトレーニング機器による教育システムの構築
URL:
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-23K02713
筆者よりコメント:
ロボット支援手術や腹腔鏡手術の手術ビデオを元に映像およびイラスト教材を作成し、さらに手術の重要局面を想定した3Dモデル(臓器、脈管系、尿路)配置型トレーニング機器を開発することを目指します。これらを使用した解剖や手術手技を視覚的かつ直感的に理解する教育モデルを構築します。モチベーションの維持と技術向上を図る、『いつでもどこでも誰でも利用できる、場所を選ばない教育システム』が若手医師の開腹手術、腹腔鏡手術の経験不足を補完すると考えています。
(光成健輔)
光成健輔先生の論文が「西日本泌尿器科学会誌」にアクセプトされました(2023年4月)。
題名:
希少癌:膀胱癌における尿路上皮癌亜型と特殊型(非尿路上皮癌)に備える
筆者よりコメント:
2022年11月に北九州で開催されました第74回西日本泌尿器科学会総会におけるシンポジウム「希少癌;Next 10 Years」で発表した内容になります。われわれ泌尿器科医は、尿路上皮癌亜型および特殊型の治療の理解のみならず、癌ゲノム医療の理解と実践を行う必要があります。
(光成健輔)
2022年度 |