SESSION 5:地域ごとに異なる法医学の魅力
東京都は2190km2と47 都道府県中45 位という狭い面積にも関わらず、
人口はおよそ1350 万人と日本総人口の10%以上を占める。その中で死因不
明の急性死や事故死などの異常死は全死亡数の約18%にのぼると言われ、法
医解剖または検案の対象となっている。
東京23 区では監察医制度が適応されており、東京都監察医務院がその役
目を担う。事件性のない異常死体を監察医が検案し、必要と判断すれば行政
解剖を行い、年間検案数13593 体、解剖数2338 体(平成25 年)と日本最
大の施設である。また、監察医制度が適応されていない23 区以外の多摩地
区、島嶼地区は警察が警察または大学の法医学者が解剖の要否を判断し、必
要ないと判断された場合には地域の警察医または法医学者が検案を行う。検
案のみでは死因が決定できないと判断された場合には、遺族の承諾の元に大
学の法医学教室で承諾解剖が施行されている。犯罪性が疑われる異常死体に
ついては、23 区も多摩島嶼地区も大学の法医学教室に委託され司法解剖が行
われる。多摩地区は23 区と違い、犯罪性が疑われない死体については、遺
族の承諾がなければ解剖検査を行うことができなかったが、平成25 年に死
因究明2 法が施行され、遺族の承諾がなくとも死因究明の必要性が判断され
た場合には解剖検査できるようになった。
東京都の中でも司法解剖のみを担当する大学、または承諾解剖と司法解剖
を担当する大学など、施設によって経験できる症例は様々である。また、研
究面においても、法医学の研究分野は多岐にわたり、専門の指導医や設備は
大学によって異なる。自分が興味を惹かれる分野の解剖や研究を行う大学を
法医学ワークショップや学会などに参加し、じっくりと探して欲しい。 |
|