病院准教授:坂本 憲穂
准教授:石本 裕士(保険医療管理部)
講師:城戸 貴志
助教:由良 博一
医員:池谷 千章
大学院生:時任 高諄、村上 律子
免疫グループでは、特発性間質性肺炎の他、膠原病性間質性肺炎、薬剤性肺炎、サルコイドーシス、過敏性肺炎、塵肺、リンパ脈管筋腫症、肺胞蛋白症、原発性線毛運動不全症など、びまん性肺疾患を対象として幅広く診断・治療に取り組んでいます(図:1)。
びまん性肺疾患は、呼吸器疾患のなかでも診断に苦慮することが多い領域であり、問診やHRCTの評価をはじめ気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage;BAL)を積極的に実施・解析しています(図:2、図:3)。
経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy;TBLB)や、場合によっては呼吸器外科協力のもと胸腔鏡補助下肺生検などを行っています。また、2020年以後は経気管支凍結肺生検(transbronchial lung cryobiopsy;TBLC)も積極的に施行しています。TBLCは気管支鏡で行う手技の1つですが、TBLBより大きな組織採取が可能で、びまん性肺疾患の診断に有益な検査です(図:4)。長崎県で導入されている施設は当院のみです。また、放射線科・病理診断科の先生方と合同カンファレンス(multidisciplinary discussion;MDD)を行い、患者さんのより正確な評価・診断を行っています。
治療はステロイドや免疫抑制剤の他、ピルフェニドンやニンテダニブといった抗線維化薬も登場し、注目されています。抗線維化薬はしばらく特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF)にしか適応がありませんでしたが、最近では「進行性線維化を伴う間質性肺炎」に承認を得たことで、IPF以外にも膠原病性間質性肺炎や過敏性肺炎、塵肺など広く投与することができるようになりました。また、患者さんの状況に応じて、治験薬使用の提案や、呼吸器外科と連携した肺移植適応患者さんの申請準備なども実施しております。
我々のグループでは特発性間質性肺炎をはじめとした各種びまん性肺疾患について、様々な方向から研究をおこなっています。他科や関連施設、他大学との連携による症例集積や共同研究、抗線維化薬の治験なども多くおこなっています。
長崎大学先端創薬イノベーションセンター 田中義正教授、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科情報病理学講座 福岡順也教授の御指導のもと肺線維化に対する創薬、AIを用いた間質性肺炎の病理診断法の開発などに取り組んでいます。