長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学分野・長崎大学病院皮膚科・アレルギー科

臨床・研究活動

臨床活動

長崎大学皮膚科・アレルギー科の特徴
 当科は、月曜から金曜まで毎日外来を開けており、新患、旧患、専門外来を担当しております。専門外来にはアレルギー外来、膠原病外来、腫瘍外来、乾癬外来を開設しています。それぞれの外来別に専門の専属医師が配置され患者さんのニーズに対応しています。アレルギー科を標榜している大学病院皮膚科は稀少であり、長崎県の皮膚アレルギー診療を牽引しています。

アトピー性皮膚炎

 血中IgE抗体、パッチテスト、発汗試験などにより悪化要因を検索し、個々に最も適した治療方法を選択しています。重症例では積極的な入院治療を行う他、光線や分子標的薬を用いた治療を行っています。私たちは長期間寛解維持のために必要な治療や生活指導を提案できるよう臨床研究・基礎研究を行っています。

アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹および薬剤アレルギー

 診断と治療を行なっています。症状を誘発する原因を特定できれば、その症状を回避できます。スクラッチテスト、パッチテストなどの皮膚試験、血液を用いた検査、そして状況や必要性に応じては口から摂取するものを実際に服用するテスト(入院)などを行い、原因検索を行っています。薬剤アレルギーについては、これらの検査結果が陽性の場合、原因薬と判断できます。その検査結果を記載したカードを患者さんに発行しています。検査結果が陰性だからといって安全薬を保障できるものではないことに注意が必要です。アナフィラキシーの可能性のある症例には入院のうえ以上の検査を行っています。蕁麻疹は9割以上が原因を特定できません。標準治療で改善しない難治な症例には自己免疫性蕁麻疹を疑った検査(自己血清皮内反応)を検討し、免疫抑制剤や抗IgE抗体による治療を検討しています。

強皮症、皮膚筋炎、エリテマトーデス、シェーグレン症候群などの膠原病

 十分な検査を行って評価・治療、ならびに生活指導を行っています。多くの膠原病は皮膚症状から発症し、病勢を反映します。膠原病から他専門的診療科との連携によって患者に包括的な医療を提供することで貢献しています。

皮膚悪性腫瘍

 多くの場合、手術が第一選択となります。悪性黒色腫に対して、ダーモスコピー等の所見から腫瘍の性質(良性・悪性など)を暫定的に判断したのち、組織検査を行い、治療方針を決定しています。皮膚リンパ腫においても分子診断と治療を行っています。腫瘍の種類や進行度に応じて、適宜化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤や、放射線治療などの適用を検討します。

乾癬

 うろこのような角質の付着する炎症性角化症です。その背景には遺伝的な要因のほか、環境要因、ライフスタイルが免疫や皮膚の恒常性に大きく影響していることがわかっています。そのため生活指導を基盤とした標準治療に加え、重症例では光線治療、免疫を調節する薬剤、分子標的薬を患者の状態やニーズに合わせて適用し包括的な医療を提供しています。

皮膚感染症

 稀少菌種による皮膚真菌症の原因菌の培養同定と治療を行っています。

その他の自己免疫疾患(水疱症、白斑、円形脱毛症など)

 天疱瘡、類天疱瘡などの水疱症に対しては病理学的あるいは分子基盤に基づく診断を行い、ステロイドや免疫抑制剤による治療から難治例では免疫グロブリン静注療法、血漿交換療法などの治療を提供しています。白斑は未だ確立された治療がありません。光線治療、適用可能な症例には皮膚の移植なども考慮します。円形脱毛症はステロイド外用、局所免疫療法、冷却療法などを実施し、難治な症例には入院の上ステロイドパルス療法を試みます。

発汗異常(多汗症、無汗症)

 発汗の基礎研究から臨床まで日本の発汗に関する医療を牽引しています。詳しくは次の リンク を参照されてください。

遺伝病(弾性線維性仮性黄色腫)

 長崎大学皮膚科は弾性線維性仮性黄色腫の我が国における拠点として遺伝子診断を行うとともに、治療開発に向けた新しい取り組みを行なっています。詳しくは次の リンク を参照されてください。

かゆみ、皮膚そう痒症

 かゆみは多くの皮膚疾患に伴うほか、皮膚に病変を伴わないかゆみもあります。かゆみは難治なことがあり、かゆみによって生活の質が損なわれます。長崎大学皮膚科ではかゆみの治療と客観的評価の確立に力を入れております。
当科の代表的対象疾患
 アトピー性皮膚炎、湿疹・皮膚炎群、蕁麻疹、痒疹、皮膚そう痒症、薬疹、感染症に伴う中毒疹、エリテマトーデス・強皮症・皮膚筋炎などの膠原病、日光角化症・ボーエン病・悪性黒色腫・有棘細胞癌・基底細胞癌等の皮膚悪性腫瘍、皮膚リンパ腫、血管腫、母斑及び皮膚良性腫瘍、尋常性乾癬・扁平苔癬などの炎症性角化症、表在性真菌症・細菌感染症・ウイルス感染症及び性感染症、尋常性天疱瘡・類天疱瘡などの自己免疫性水疱症、光線過敏症などの物理化学的皮膚障害、血管炎・皮膚潰瘍などの末梢循環障害、尋常性白斑などの色素異常症、紅斑症、角化異常症 、難治性潰瘍、ムチン沈着症、弾性線維や膠原線維に異常のある諸疾患、多汗症、無汗症
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