長崎大学病院産婦人科・長崎大学大学院医歯薬学総合研究科産科婦人科学分野

長崎大学産婦人科から皆さんへ

長崎大学産婦人科のカンファランス

 当科のカンファランスは週2回、火曜日と木曜日に行っています。火曜日は婦人科、木曜日は産科カンファランスを行っています。産科カンファランスは小児科(NICU)にも参加していただきます。

 婦人科カンファランスは手術症例を中心に、病棟・外来で診断や治療方針決定が困難な症例についてディスカッションしています。医局員からは症例に対する質問が相次いで出されます。もしも質問に対して発表者が回答に苦慮する場合は、その分野のスペシャリストが意見を述べます。症例に対して主治医がどのように考えているのか、患者さんにとってベストな治療方針は何なのかを医局員全員が納得するまで討論します。それらを踏まえた上で、治療方針が決定されます。学生も発表や議論に加わってもらいます。学生にはカンファランスで一度は質問するように指導します。質問することで、発表されている症例と真剣に向き合う姿勢が生まれるからです。真剣すぎて、カンファランスの雰囲気を少し怖いと感じる学生もいるようです。しかし、私たちの仕事は患者さんの生命をあずかるものである以上、妥協は許されません。それに学生や研修医から出る質問は私たちをはっとさせるものも少なくありません。ぜひ私たちの討論には積極的に参加してほしいと思っています。

 産科カンファランスではNICUの先生に参加していただきます。まずは産科の症例を提示し、妊婦さんの現在の状態、治療方針、分娩方法や分娩時期について皆で考えます。産科で特徴的なことは、妊婦さんだけではなく、赤ちゃん(胎児) も診療の対象であることです。私たちは妊婦さんの状態を見ながら、赤ちゃんをどのタイミングで、どのように(経腟分娩か帝王切開か)出してあげるのがベストなのかを常に考えています。それを産科の立場、小児科の立場から意見を出し合って決定していきます。また、分娩後の症例については分娩時の状況や新生児の様子を両科から報告し、分娩方法が適切であったのか否か、改善点があるとしたらどうするのが良かったのかを常に議論して次につなげていく努力をしています。母体搬送については搬送元の開業医さんの対応や搬送方法についても話し合います。その際、問題があると判断した場合は、直接状況について搬送元の先生にお聞きし、こちらで考えていることを伝えることで長崎県の産婦人科全体のレベルアップを目標としています。

 このようなカンファランスができていることは私たちの誇りとするところです。なぜなら医局員の診療に対する姿勢が強く表れるのがカンファランスだからです。そして、どんな症例であっても、たとえ分娩がうまくいかなかったとしても、普通に意見を言える雰囲気があることは、医局が全体としての向上心にあふれていることに他ならないからです。
(文責:長谷川 ゆり)
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