長崎急性心筋梗塞(AMI)二次予防クリニカルパスについて

長崎急性心筋梗塞(AMI)二次予防クリニカルパスについて
急性心筋梗塞について
日本における心疾患による死亡は悪性新生物に次ぐ第2位となっています。心疾患の中でも特に死亡率の高い疾患として心不全と急性心筋梗塞が挙げられます。
死因別死亡数の割合(長崎県・全国)

(出典: 長崎県循環器病対策推進計画)
急性心筋梗塞(AMI)は、冠動脈プラークの破綻とそれに伴う血栓形成により冠動脈が閉塞し、心筋壊死を来すことが原因で発症します。
急性期治療としてカテーテルを用いた経皮的冠動脈形成術(PCI)が広く実施可能となり、予後が改善されておりますが、一方で遠隔期に再発を来す症例も認めております。
急性冠症候群の原因となる不安定プラーク
心筋梗塞の二次予防について
心筋梗塞の二次予防には、高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常などのリスク因子をコントロールすることが重要です。特に冠動脈プラークの進展を抑えることを目標に、LDL-C 70mg/dl未満を目標とした積極的な脂質低下療法が推奨されています(参照: 日本循環器学会 急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版))

この目標を達成するためには薬剤の投与のみならず、食事・運動といった生活習慣の改善も必要です。また、それを長期的に継続していくことが、さらなる予後改善に繋がると考えられます。
長崎AMI二次予防クリニカルパスについて
循環器病への対策を推進するために2019年12月に循環器病対策基本法が施行され、長崎県においても2022年3月に循環器病対策推進計画が策定されました。この推進計画では地域で連携して循環器病患者を診ていくことが重要であることが記載されています。それに沿った取り組みとして、この度、長崎市内の心臓カテーテル治療実施施設による「長崎ACS二次予防協議会」を設立いたしました。
そした、協議会の取組みとして、まず「長崎AMI二次予防クリニカルパス」の運用を開始いたしました。

地域でのクリニカルパス運用で得られる効果として、治療内容のばらつきを抑えること、急性期病院とかかりつけ医、患者自身が治療目標を共有することが挙げられます。長期的なアドヒアランス維持・向上が得られることで、二次予防に繋がることが期待されます。

該当する患者さんについては、通常の診療情報提供書に加え、下記クリニカルパス一式を用いて連携を行って参りたいと思います。協議会の主旨にご賛同いただきご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

長崎ACS二次予防協議会参加PCI実施施設:
 光晴会病院、済生会長崎病院、長崎記念病院、長崎原爆病院
 長崎大学病院、ながさきハートクリニック、長崎みなとメディカルセンター、虹が丘病院
クリニカルパスの内容と運用
長崎AMI二次予防クリニカルパスについては、こちらのリンクからもダウンロード可能ですので、ご利用ください。

長崎AMI二次予防クリニカルパス一式

長崎AMI二次予防クリニカルパス(運用フロー)PDF
  急性期病院入院中~退院後外来における管理目標や血液検査について
  脂質低下療法の投薬内容変更の目安について
  フォローアップ中のよくある疑問点について
長崎AMI二次予防クリニカルパス(運用フロー)
長崎AMI二次予防クリニカルパス(抗血小板薬投与期間の連絡票):PDF
  抗血小板薬の変更の依頼や患者個々の出血リスクについて

抗血小板薬投与期間の連絡票

長崎AMI二次予防クリニカルパス(連携パス:くすり手帳貼付)MS-Word
  患者様のくすり手帳に貼付するもの(LDL-C値や投薬内容の変更について記載)
  定期受診時に患者様との治療目標共有にご活用ください。

連携パス:くすり手帳貼付

当科担当・窓口
長崎AMI二次予防クリニカルパスの内容・運用に関するご質問については、下記までお問い合わせください。

 黒部 昌也(e-mail: daigaku.kurobe@nagasaki-u.ac.jp