各診療班の紹介
 
神経疾患  
 
1 はじめに
 
守備範囲が広く、患者数も多い。
 小児神経科の守備範囲はとても広く、対象患者数も多い。てんかん(人口100人に1人)、精神運動発達遅滞(3歳児人口60人に1人)、この中には多くの先天異常、遺伝性神経筋疾患をはじめ、脳性麻痺(出生前、周産期、出生後要因、早産児_低出生体重児)、精神遅滞が含まれ、この他、多動性障害、自閉性障害なども守備範囲です。精神遅滞、多動性障害、自閉性障害は主に発達グループで診ています。さらには、脳炎、脳症、意識障害、脳血管障害などの急性疾患も飛び込んできます。小児神経科のもう一つの特徴は、診断、薬物治療に加えて、療育部門があることです。ここでは、障害を持った児のQOLを最大限に高めるための長期的生活設計が立てられ、理学、作業、言語療法士、心理士、保母、ケースワーカーなどの多種の職種と共同して、療育がなされます。
スタッフ紹介
所 属
スタッフ名
長崎大学 里龍晴、原口康平、渡辺麻美、中尾理沙
長崎みなとメディカルセンター 宮崎あかね 
佐世保市総合医療センター 橋本和彦
長崎県立こども医療福祉センター 松尾光弘、山下未央、林田拓也、
森山薫、井上大嗣
国立病院機構長崎医療センター 西口奈菜子、池田憲呼
みさかえの園むつみの家 森淳子、深町亮
長崎市障害福祉センター 松崎淳子
国内留学 島崎敦

臨床の概要
 
 てんかん:
人口100人に1人の有病率であるので、小児科外来患者の中では最も多い疾患の一つです。 初診では詳細な問診(発達歴、発作症状など)、神経学および発達学的診察がなされます。 その後、脳波(覚醒から睡眠までを含む)、必要ならば頭部MRIが撮られ、診断が下されます。 抗てんかん剤の投薬は発作型、てんかん分類に従って、少量から開始し、漸増し、血中濃度を参考に維持量を決定します。 薬剤でコントロールできたら、年2回の脳波(覚醒、睡眠を含む)、血中濃度、副作用検査がなされます。 難治性(薬剤抵抗性)てんかんの場合は、脳波_ビデオ同時モニタリングを行い、発作症状_発作時脳波を5回程度捕らえ、また、発作間欠期と発作時のSPECTを行い、これら全ての非侵襲的検査情報から、てんかん焦点を推定します。 脳外科医を含む長崎てんかんグループ検討会で次のステップの検査(侵襲的検査)に入るかどうかを検討しています(国立病院長崎医療センターにて)。てんかん外科治療を受けた後も、外来で発作頻度、発達、QOLの変化を観察していきます。

急性脳症・脳炎:
脳保護療法(脳低温療法、抗サイトカイン療法としてのステロイドなど)を中心に集中治療を取りいれ、その効果を検討しています。

変性・代謝疾患:
代謝酵素測定及び生検による診断を行っています。

神経筋疾患:
筋・神経生検による診断確定。他施設と共同して遺伝子診断も行っています。

脳血管障害:
画像による診断確定・治療において、脳外科・放射線科とのタイアップ。

脳奇形症候群:
脳脊髄髄膜瘤や先天性水頭症などは、産科における胎児エコーやMRIを用いた胎児診断により、産科_新生児科_小児神経科_脳外科の連携によって、早期新生児期から治療・管理がなされています。

療育:
非進行性、進行性神経疾患に対する療育を理学療法部、県立こども医療福祉センター(肢体不自由児、児童心理)発達外来・児童相談所(精神遅滞児、自閉傾向児)、長崎市障害福祉センター(ハートセンター)、佐世保市こども発達センターなどと提携して行っています。
  

研究の概要
 
電気生理学的アプローチ(てんかんにおける脳波解析、脳高次機能に関する研究):
共同研究者(K.Ono)によって開発された脳波を含む生体信号の収録、編集、解析を行うBio-informationProcessing System (BIPS) を用いたてんかん脳波の研究。 (主に、県立こども医療福祉センターにて)

機能的画像診断(functional MRI, SPECT, MR spectroscopy)
functional MRIによる言語、記憶の優位半球の決定。(てんかんの外科治療前検査として)
脳障害の時期によって脳の可塑性がどう変化するか?
左または右片麻痺患者の言語、非言語、記憶、空間認知などの優位半球は脳障害受傷時期によって変化しているかどうかを調べる。

疫学(てんかん、中枢神経系感染症、頭蓋内出血など)
長崎県全体のpopulation-based study を行い、時代による変化、他の地域との差、または、治療的(予防的)介入後の変化などを研究する。
教育の概要
 
1.小児神経診断学の修得
a.小児の正常発達  乳幼児検診にて、正常児を診ることで、正常発達を体得する。
b.神経徴候の診方・考え方、小児神経学的診察法による神経徴候から責任病巣を推定し、画像診断と対応させる。

2.検査手技の修得と解釈
  腰椎穿刺・髄液検査、画像読影(CT, MRI, SPECT)、電気生理(脳波、誘発電位:
  ABR, VEP, SEP, NCV, 脳波_ビデオモニター)、筋生検

3.治療法の修得(以下の基本的疾患)
  てんかん、けいれん重積、意識障害・脳炎・脳症、細菌性髄膜炎、多発性硬化症、
  ギラン・バレー症候群、重症筋無力症の治療。

社会活動の概要
長崎てんかんグループの一員として、パープルデイ・長崎などのイベントに参加しています。

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長崎大学小児科学教室
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