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UroUro通信

第31回 前立腺シンポジウムに参加、発表してきました。

2015年12月25日

 12月12日、13日に東京で開催された「第31回前立腺シンポジウム」に参加してきました。このシンポジウムは名前の通り前立腺疾患に関して発表、議論する会ですが、特徴的なのは、1日目は『基礎研究』に関する発表や講演が、2日目に『臨床研究や成績』に関する発表が行われることです。 そして、『基礎研究』部門は発表と質疑応答を含め20分間と、一般的な学会の3倍近い時間を確保してあります。つまり、臨床的検討が重要であることは言うまでもなく、基礎研究にも重点を置いた会とも言えます。 実際に参加、議論してみると、臨床的な課題に関する議論でも、基礎研究から得られた知識を基にしたものは説得力があるものであり、他の学会とは一線を画した会であることが随所で実感できました。
 さて、今回、基礎部門では、宮田が「前立腺癌におけるhuman antigen-Rの臨床病理学的検討」を発表しました。この研究は、大学院生の光成先生を中心に、同じく大学院生の浅井先生、助教の志田先生、計屋先生などの協力を得て行ったもので、その集大成とも言える発表でした。 今回の発表スライドを作成しながら、あらためて光成先生達の努力と執念?を感じました。そして、本当にすばらしい研究成果が得られたと感慨深いものでした。一方、臨床部門では、計屋先生が「去勢抵抗性前立腺癌に対するエンザルタミドの使用経験」を発表しました。 今年は、去勢抵抗性前立腺癌に対する新規ホルモン薬に関する発表が多かったのですが、計屋先生の発表は、長崎大学病院で行ってきた治療をベースにした切り口で、他の発表にはない斬新な知見を示したものであり、フロアーの先生方と活発な議論ができていました。
 今回のシンポジウムでは、これらの発表に加え、宮田が臨床部門の座長を、酒井教授が、「去勢抵抗性前立腺がん治療の現状と今後の展望」というパネルディスカッションの座長を務められるなど、前立腺分野における長崎大学への存在感を感じられるものでした。 また、近藤厚名誉教授、齊藤泰名誉教授(今回のシンポジウムにも参加されていました!)、金武洋名誉教授、そして、酒井教授に脈々と引き継がれてきた前立腺研究の流れを改めて実感させられました。 長崎大学泌尿器科では、前立腺癌を含む各種の前立腺疾患について、様々な基礎研究、臨床研究、臨床治験などを積極的に行っています。今後まずます進む高齢社会に貢献したいと思いつつ、品川で美味しいお酒を飲みました。
(文責:宮田康好)


ポスターの周りに聴衆が群がって?発表者が見えません!


満足いく発表ができた?!計屋先生

第48回九州人工透析研究会総会 開催レポート

2015年12月25日

2015年12月6日、酒井英樹教授を会長に第48回九州人工透析研究会総会が開催されました。 参加人数は約1700名でした。会場は長崎ブリックホールと長崎新聞文化ホールの2会場です。.....

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「ローヤルゼリー」に注目した臨床研究を始めます。

2015年12月15日

 泌尿器科癌、特に、腎癌に対して分子標的治療薬が広く用いられており、その効果は(個人差はありますが)従来の治療薬よりも高いことが知られています。 しかし、口内炎や皮膚症状、高血圧などの有害事象が問題となることがあり、様々な薬を併用してもなかなか改善しないこともあります。 そして、この有害事象を抑えることが、分子標的治療薬を用いた治療では重要になります。
 今回、長崎大学病院、泌尿器科では、サプリメントとして普及している「ローヤルゼリー」に期待される皮膚粘膜保護作用や降圧作用に注目した臨床研究を始めます。 そして、この臨床研究を写真し示した助成金で行うことで「ローヤルゼリー」を患者さんに無償で提供することが可能となりました。 その実施に関する詳細は現在調整中ですが、近いうちに開始できる予定です。
 長崎大学、泌尿器科では、「緑茶(green tea)」の癌抑制効果に関する研究成果を、海外の学術誌にその研究成果を発表してきました(新たな論文が来年も掲載されます)。 また、排尿障害の治療に科学的視点から漢方薬を取り入れています。このように、最先端の医薬品に精通するだけではく、天然の素材やサプリメントなどにも注目した総合的な医療を実践しています。
(文責:宮田康好)

第29回日本泌尿器内視鏡学会総会に参加しました!

2015年11月26日

 去る11月19日~21日に、東京京王プラザホテルにて第29回日本泌尿器内視鏡学会総会が開催されました。泌尿器科領域における、内視鏡手術(主に腹腔鏡、ロボット支援手術、経尿道的手術など)の手技向上・発展を目的とするのが本学会の特徴です。 全国から多くの泌尿器科医が参加し、様々な研究成果や新たな手技などが発表されました。
 我々の大学からは、"ワンポイントレクチャー:エキスパートのコツ"のセッションにおいて"ロボット手術:前立腺全摘"を酒井教授が講演され、一般ポスター"腹腔鏡:腎"の座長を錦戸准教授が務め、一般口演"腹腔鏡下膀胱全摘除術の初期経験"を大庭が、 一般ポスター"当科にて手術を行った副腎骨髄脂肪腫に関する臨床的検討"を計屋先生が発表しました。
 本学会は、腹腔鏡技術認定制度が普及・定着したことに加え、全国的なロボット支援手術の増加も相まって、参加者も多く活気にあふれておりました。長崎大学からも若い先生方が多数参加し、大いに刺激を受けたようでした。
 これからの泌尿器外科はほとんどの手術が内視鏡・腹腔鏡(ロボットも含む)で行われるようになると思われます。長崎大学もその流れに乗って、腹腔鏡技術認定医もどんどん増え(今年は関連施設含め6名合格)、 新たな内視鏡手術の導入に取り組んだりしておりますが、まわりの進歩もまた加速しております。我々もさらに精進しようと決意を新たにした3日間でした。

第68回米国老年医学会議(The Gerontological Society of America, GSA)に参加してきました。

2015年11月25日

 11月18日よりアメリカ(オーランド)で開催された「第68回米国老年医学会議」に、私、宮田と松尾先生で参加してきました。この学会(会議)には以前より興味を持っていたのですが、なかなかその機会もなく、今回が初めての参加でした。 実は、以前のUroUro通信にも書きましたが、今年のヨーロッパ泌尿器科学会(EAU)に私と松尾先生は発表の予定でしたが、某航空会社(日本の会社じゃないですよ!)のストライキにより渡航できず、その費用で特別に酒井教授より参加のお許しを得て参加することができました。  会場では、予想以上に参加者が多いこと(20近いsessionが同時刻に平行して開催されていました)、医師以外に看護師、ソーシャルワーカーなどのパラメディカルの参加者も多いこと、日本からも多くの発表があり、日本人の参加者をたくさん見かけたことが印象的でした(千葉からは研修医の先生も参加されていました)。
 また、演題としては、一般的な老年医学や高齢者のケアに関することに加えて、「英語を流暢に話せない移民の高齢化に伴う問題点」や「家の間取りと高齢者の生活との関係」、さらには、「HIV/AIDS患者の高齢化と治療、ケア継続の問題」、「孫と同居の有無が高齢者の生活に与える影響」など幅広いテーマで発表がありました。 泌尿器科分野では、「移植患者や透析患者の高齢化」について興味深い発表があり、しっかりとメモしてきました。
 ご存じかもしれませんが、オーランドはディズニーランドやユニバーサルスタジオがあるなど一大リゾート地ですが、2人とも2014年のアメリカ泌尿器科学会で発表した際に滞在していたことや、テロを危惧したこともあり、今回はずっと学会会場で勉強していました。 もちろんテロの影響はありませんでしたが、帰りの飛行機に預けたスーツケースが初めてアメリカ航空保安局により中身をチェックされていました。帰国後にスーツケースを開けると一枚の紙が入っており、そこに中身を調べたことが書いてありました。 もちろん問題となるものはありませんでしたが、現地で探した宝物?!が没収されずに安堵しました。ただし、パンツを見られた?というのが気になりますが・・・。これもテロ警戒の影響なのでしょうか?私の素行が悪かったのでしょうか?
 最後になりますが、学会シーズンで人手が少ないにも関わらず私達の参加を許可して頂いた酒井教授や、不在中の仕事をサポートしてくれた教室員一同に感謝申し上げます。今回得た知識を基に、さらに老年泌尿器科領域の診療や研究を向上させたいと思っています。
(文責:宮田康好)

松尾朋博先生が、第22回排尿機能学会、学会賞を受賞しました!

2015年11月19日

 9月9日から札幌市で開催された「第22回排尿機能学会」において、松尾朋博先生が『食塩摂取量が排尿症状に及ぼす影響に関して -特に夜間頻尿との関連に注目して-』を発表しました。これは、夜間頻尿の病態について、膀胱の筋肉や排尿に関連する神経の機能ではなく、食塩の摂取量という生活習慣に注目した研究です。 実は、この課題のヒントは、2年前に危険を顧みず?!私と松尾先生の2人で参加、発表した国際尿禁制学会(ブラジル、リオデジャネイロ)で得たものであり、帰国後に研究計画を立て、統計解析などを相談しながら行ってきました。この研究で特筆すべき点の1つとして、その解析した患者さんの数が挙げられます。 つまり、食塩摂取量の調査や詳細な排尿に関する問診や診察、さらに、他の合併疾患などを含めた複雑な統計解析を728名!!で行ったのです(正直に言うと、私は100名を超える患者さんでデータを集めることは難しいと思っていました)。 そして、その解析から得られた結果は、夜間頻尿の病態を議論する上で重要なものであり、今後の夜間頻尿の診療においても非常に有益なものでした。
 そして、その研究の意義や臨床的な有用性が認められ、見事に同学会の「学会賞」に輝きました!!松尾先生は、これまでも興味深い研究をコツコツと行い、それらの研究成果を地道に発表してきましたが、その努力が報われた形となり、一緒に排尿機能の研究を進めてきた私にとっても本当に嬉しい受賞でした。 また、酒井教授の号令のもと教室を挙げて取り組んできた排尿機能に関する研究が、医学の進歩や診療に役立つことができ、教室員にとっても良い刺激となったように思います。
 現在、さらに排尿機能に関する研究を発展させるべく、松尾先生を中心に様々な準備を進めています。現在でも排尿に関する悩みを持つ患者さんは多く、さらに高齢者が増えるにつれてより安全で効果の高い治療法の開発が求められてきます。 松尾先生には、今回の受賞を1つのステップとして、さらなる活躍を期待しています。
 なお、排尿機能に関する研究は、生理学的、神経学的な分野から、今回のような生活習慣や加齢などの全身性の要因、さらには、不眠症や認知症といった幅広い分野が対象となります。 このような領域の研究や診療に関心のある学生や研修医の皆さん、一度遊びに来てみませんか?美味しい料理にお酒を準備して?待っていますよ。
(文責:宮田康好)

第53回日本がん治療学会、第1回日本泌尿器腫瘍学会に参加しました!

2015年11月16日

 去る10月29日(木)~31日(土)に京都に於いて、第53回日本がん治療学会が開催されました。本学会は、泌尿器科領域はもちろんのこと、あらゆる領域のがん診療に関する学会であるため、学会参加者の多さと規模の大きさには目を見張るものがありました。 長崎大学泌尿器科からは、宮田先生が"前立腺癌で術前ホルモン療法はリンパ管新生を亢進させ予後に影響を与える可能性がある"の演題でワークショップでの発表を、大庭が"泌尿器がんに対する手術前後における、SF36を使用したQOL調査"、松尾先生が"腎尿管全摘後の腎機能の推移- 術前水腎症の有無との関連について-"の演題で各々ポスターセッションでの発表を行いました。 今回の学会では、泌尿器科領域においても注目している腫瘍免疫に関する討論やロボット支援手術の発表が多く、日本のがん治療が診療科の違いはあるものの新しい時代に入っていることを実感しました。個人的には、敢えて泌尿器科領域以外の討論や発表をみてまわりましたが、他科の癌に対する考え方や対応、他科との診療連携など、大変勉強になりました。
 さらに10月31日(土)および11月1日(日)は、第1回日本泌尿器腫瘍学会が開催されました。学会立ち上げということで、泌尿器がん診療に携わる多くの医師で賑わいました。 また、秋の京都は風情豊かで、学会の合間には美しい風景や歴史あるお寺などで心を洗い、もちろん夜は京料理や古都のお酒を満喫しながら泌尿器科がん診療について大いに語らいました。

「薬剤師の在宅訪問」に関するパンフレットを作成しました!

2015年8月19日

 近年、在宅診療や訪問看護の重要性が増していますが、その課題の1つとして、自宅において薬の保管や使用が適切にできるのか?という問題が挙げられています。特に、分子標的治療薬や免疫抑制剤など、より適切な保管と厳密で適正な使用が求められる薬剤を扱い、さらに、高齢患者をみる機会が多い泌尿器科医にとっては、これは避けて通れない問題でもあります。
 そこで、2014年に「公益財団法人 杉浦記念財団」より研究助成金を獲得し、薬剤師の在宅訪問に関する現状の調査を地域で活躍されている医師、看護師、薬剤師を含む医療従事者の協力を得て行いました。その結果については、今後、学会や医学雑誌などで報告していく予定ですが、その検討過程で「薬剤師の在宅訪問」の存在や具体的な内容が、患者さんやそのご家族、そして、医療従事者にあまり知られていないと感じました。
 そこで、実際に訪問を行っている薬剤師さんや地域医療に従事している医療関係者の方々と議論を重ねながら、「薬剤師の在宅訪問」に関するパンフレットを、私達の教室で独自に作成しました!!このパンフレットには、先に述べた調査の結果の一部や、実際の活用例、さらには、どのように薬剤師に在宅訪問を依頼するのかといった内容をイラスト入りで紹介しています。 まだまだ改善すべき部分もあるとは思いますが、今後、在宅診療体制の充実を通して地域医療の向上に役立てていければと思っています。
 なお、このパンフレット内容は広く無償で提供しますので、お気軽に宮田まで連絡ください。
(文責:宮田康好)

秘書さん達が焼きそばとお好み焼きを焼いてくれました!

2015年8月10日

 金曜日のお昼前・・・、廊下に面した准教授室で仕事をしていると、何やら香ばしいソースの香りが・・・。良いにおいに誘われて廊下に出てみると・・・、秘書さん達が焼きそばを医局で作っているではないですか!!
 という訳で、みんなで焼きそばとお好み焼きを頂きました。しかし、また、そのうまいこと、うまいこと!!実は、2週間前、学会の帰りに大阪でお好み焼きを食べたのですが、それに負けるとも劣らない味でした。 「やっぱり夏は焼きそばですよね」と言う安田先生に、「縁日の感じですよね」と答える荒木先生、そして、その会話の間もひたすら「モグモグ食べ続ける・・」宮田に浅井先生・・・。そして、その食欲にあきれながら?!食器を洗っている岩田先生・・・。 思いがけずリラックスした時を過ごせました。秘書の峰さん、川井さん、松川さん、に感謝、感謝です。
 なぜに今日秘書さん達は焼きそばとお好み焼きを・・・??という疑問は残りますが、また、よろしくお願いします!そして、繰り返しになりますが、お世辞抜きで本当においしかったです!!
(文責:宮田康好)

「第60回日本透析医学会総会」に参加しました。

2015年7月29日

 6月26日~28日に開催された第60回日本透析医学会総会に参加・発表してきました。学会のタイトルである「医理工連携と透析医療」という内容にふさわしく、透析医だけでなく、看護師や臨床工学士あるいは栄養士、薬剤師など本当に多職種の医療スタッフが参加していました。なんと20,000人以上の参加があったようです。 小生も毎年参加しておりますが、本当に多くの透析関係者が参加し、各会場はどこも立ち見がでるほどの盛況でした。日本の透析医療のレベルの高さは、この多職種連携と透析関係者の勉学に対する真摯な姿勢によるものであることを改めて認識させられました。 その中で、今回は長崎大学からは一般演題として、宮田康好准教授から「血液透析患者の進行性尿路癌に対する分子標的治療薬を含むレジメン使用の検討」、望月から「当院における内シャント中枢静脈狭窄症に対するインターベンション治療成績」の2題、また錦戸雅春准教授はシンポジストとして「長崎大学における先行的腎移植の現状」というタイトルでの話題提供がありました。 また前田医院の前田兼徳副院長は2つのワークショップの演者で発表されていました。「長時間透析の積極的経験から提起する既存透析液の問題点」「透析液Ca濃度と透析効率」という内容の発表でした。前田先生は全国の名のある透析医と肩を並べての堂々とした発表ぶりでした。長崎大学泌尿器科の腎不全医療の総合力が発揮されているのを感じることができました。 またあらためて腎不全医療に関する基礎あるいは臨床に対する研究の重要性を知ることのできた3日間でした。
(文責 望月)

追記:今年12月6日に当科の酒井教授を会長に第48回九州人工透析研究会総会が開催されます。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

「第4回 日本緩和医療学会」に参加いたしました。

2015年7月13日

 6月18日に横浜市で開催された「第4回 日本緩和医療学会 緩和ケア入門セミナー」に参加してきました。なぜ泌尿器科医が?しかも、大学勤務の泌尿器科医が?と不思議に思われるかもしれませんが、私が昨年獲得した研究助成金で在宅診療や一般用医薬品に関して調査を行うなかで、最近の緩和ケアの実情や流れを知ることが、これらの研究成果のより良い理解に繋がると考えたため参加した次第です。 実際に参加すると、会場は満員で看護師や薬剤師を中心にみんな熱心にセミナーに聞き入っていました。「入門セミナー」ということでしたが、除痛に関する最新の情報や、がん治療と緩和ケアの関係がどうあるべきか、などとても勉強になりました。
 近年、ロボット補助下手術や様々な分子標的薬の開発、さらに、第二世代の抗アンドロゲン薬の登場に、もうすぐ臨床現場の使用が予想される新たな免疫療法と、泌尿器がんの治療は目覚ましい変化が見られます。我々は、そのいずれにおいても最先端の医療を提供しているという自負がありますが、同時に、酒井教授がいつも学生や医局員に言っておられる、 「長崎大学病院、泌尿器科では、疾患の予防から早期発見、そして、治療とその後の経過観察、さらには、緩和ケアから看取りまで一貫して行う」という点にもこだわりを持っています。 そして、医療が細分化されていくなか、その継続性を持つ医療を行うためには、他の医療チームとの連携が重要になります。実際、6月20日に行われた「日本泌尿器科学会、長崎地方会」において、「泌尿器科医と地域医療」というテーマで同門の先生方や医局員に対して教育講演を行いました。今後も、医局をあげて緩和ケアを含めた地域医療に貢献したいと思っています。
 さて、すでにホームページで告知してありますが、7月31日には「医局説明会」が予定されています。ダヴィンチに、腎移植や透析療法、女性泌尿器科に小児泌尿器科、さらには、抗がん剤治療に放射線治療と様々な分野で研修医の先生や学生諸氏と話しができることを楽しみにしています。そして、老年医療や地域医療についてもたくさん話しができたらと思っています。 このような分野に興味のある方も、どうぞ気楽に参加してください!是非、おいしいお酒と食事を共にしながら語らいましょう!!
(文責:宮田康好)

「第29回 日本老年学会総会」に参加してきました。

2015年6月23日

 6月12日から横浜市で開催された「第29回 日本老年学会総会」に参加してきました。ここで気をつけて頂きたいのは、「老年泌尿器科学会」とは異なる学会だということです。 ちなみに、今年の5月に浜松市で行われた「第28回 老年泌尿器科学会」には、松尾朋博先生、浅井昭宏先生と宮田の3名で発表してきましたので、連続して老年医学に関する学会に参加したことになります。 実は、この「日本老年学会総会」には初めての参加でしたが、以前より取り組んでいる泌尿器科領域における在宅診療に関する知識を深める上で、どうしても参加したい学会の1つでした。 実際に参加してみると、医師、看護師、薬剤師にケースワーカーと多職種からの発表があり、複数の老年医学に関する学会と共同開催されていました。また、医師についても、内科は言うまでもなく、精神科や整形外科、脳神経外科と様々な分野からの発表があり、より広い知識を得ることができました。
 一方、「夜間頻尿」、「尿失禁」、「尿道カテーテル管理」などの言葉が、各発表会場で飛び交っているのに対し、泌尿器科医の姿が少ないことが意外でした。事実、泌尿器科領域からの発表はごく少数であり、『老年医学の中における泌尿器科』について考える良い機会ともなりました。 実は、酒井教授の許可を得て、今年の11月にはオーランドで開催される「米国老年医学会年次総会」に参加する予定にしています。そこで得た老年医学の世界的な知識や流れを医局員および同門の先生方にフィードバックして、さらに地域医療の向上の役に立ちたいと思っています。
(文責:宮田康好)

アメリカ泌尿器科学会(American Urological Association, AUA)の年次総会で大学院生が発表しました。

2015年6月1日

 5月15日よりアメリカのニューオリンズで開催された「アメリカ泌尿器科学会(American Urological Association, AUA)の年次総会」で、大学院生の光成健輔先生と浅井昭宏先生が発表しました。
 光成先生は前立腺癌についての発表でした。今回発表した内容は、細胞、動物モデル、そして、臨床検体を網羅的に解析したものでした。 なかなか複雑な結果でしたが、2013年にAUAで発表した経験があるためか、「少し余裕ができたかな?」と感じられる良い発表でした。一方、浅井先生は膀胱癌に関する発表でしたが、初めてのAUAとは思えないほどしっかりとした発表ができていました。 その後の質疑応答でも(内容は少しピント外れ?でしたが・・・)堂々とした態度で、AUAデビューとしては上出来でした。  私は、今回は教授と共に大学院生の「監視役?」として参加しましたが、今までの発表者とは違う指導者としての緊張感を味わいました。 そして、少し余裕ができた分、今までの以上に様々な分野の報告や、ライブサージャリーをじっくり見ることができました。 近年、AUAについては様々な評価がありますが、その採択率(しつこいですが20数%しかありません)に裏付けられた質の高さや、世界中の泌尿器科医が集まる規模の大きさ、そして、何より発表者と参加者の熱意と情熱は、ヨーロッパ泌尿器科学会総会と双璧をなすことに異論はないと思います。
 発表後、教授から「すごく成長したよ」と声を掛けられた光成先生と浅井先生の気恥ずかしいような、誇らしげな表情を見ると、今回、大学院生が発表できて本当に良かったな、とあらためて感じました。そして、私も指導者として少し胸を張りたくなる気持ちでした!今年も新たな大学院生が研究に加わってくれています。 さらに活発に、そして、独創的な研究を進めていきたいと気持ちを新たにしました。来年のAUAは、サンディエゴで行われます。かなりの難関ですが、大学院生も含め医局員みんなで頑張りましょう!!  今回AUAで発表できたのは、このような研究体制を確保してくださった酒井教授や、望月前医局長をはじめとした医局員みんなの協力によるものですが、やはり最も大きかったのは、光成先生、浅井先生の地道で、絶え間ない努力によるものです。 臨床だけではなく、学生の指導や各種の雑用を行いながらの実験は、かなりの身体的な消耗と精神的な負担を伴います。 そして、家族との時間や余暇を減らさざるを得ないこともあります。このような状況のなかで、今回の発表を「勝ち取った」彼らを、今度会った時には、是非、誉めてやってください。そして、両名とも「気を抜かず」これからも一緒に頑張りましょう!!
(文責:宮田康好)

第102回日本泌尿器科学会総会のワークショップで「高齢の膀胱癌患者さんの治療」に関する発表をしてきました。(第2弾)

2015年5月19日

 5月13日(水)に、長崎大学病院の地域連携室が、長崎市近郊の地域診療やケアに携わる医師や看護師、ケアマネージャーに介護士、さらに、薬剤師や栄養管理士など幅広い職種を対象に定期的に開催している「オープンカンファランス」で発表しました。

今回のテーマは、

①高齢者の在宅診療における排尿障害の管理の実態

②泌尿器症状への一般医療薬品(OTC医薬品)の普及の実態とその背景

③在宅診療における訪問薬剤師に関する調査

について紹介しました。

これらのテーマは、昨年より長崎大学泌尿器科学教室全体で取り組んだものであり、特に、①の排尿に関する実態調査やその改善に関する取り組みは10年近く継続して行っているもので、それらの一端を紹介することができました。 また、今回は、医学科、保健学科、歯学部、そして、薬学部の学生を対象とした調査も行い、今後の医療系学部の学生教育に関しても興味深い結果が得られましたので、その一部も発表しました。
 このカンファランスでは、明日からでも役立つ情報の提供が行われることが多く、今回のテーマには不安もあったのですが、多くの方に集まって頂き、また、フロアーの方々から様々な情報や貴重な意見を得ることができました。 微力ながら、患者さんやご家族、そして、医療従事者や介護関係者にも有益な情報が提供できたものと「自画自賛」しております。  最後に、このような発表の機会を与えてくださいました長崎大学病院、地域連携室の皆様に感謝申し上げます。また、今回の発表内容は、『フランスベッド・メディカルホームケア研究・助成財団』、『公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団』、 『一般財団法人 杉浦地域医療振興財団』、『公益財団法人 一般用医薬品セルフメディケーション振興財団』からの 研究助成金で行った研究で得たものであり、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
(文責:宮田康好)

第102回日本泌尿器科学会総会のワークショップで「地域医療」に関する発表をしてきました。

2015年5月1日

 4月27日(月)に、長崎市近郊を中心に在宅訪問を積極的に実践されている薬剤師の手嶋無限先生を講師にお迎えして、講演および勉強会を行いました。 なぜ泌尿器科医が?と思われた方もいるかもしれませんが、泌尿器科では、「分子標的薬」や「経口の抗腫瘍薬」、そして、「オピオイド」や「ホルモン剤」と、その管理や服薬、副作用対策が重要な薬を日常的に扱っています。 また、泌尿器科医は高齢の患者さんを診る機会も多く、大学病院であっても、在宅診療や地域医療に無関心ではいられません。
 今回、手嶋先生の豊富な経験と知識に基づいた、実例を交えながらのお話しを伺い、改めて泌尿器科医が地域医療で果たすべき役割の重要性や、薬剤師、看護師を始めとするスタッフとの協調の大切さを痛感じました。 講演の後には、酒井教授を始め、望月講師に若手研修医の先生から様々な質問があり、その後の議論まで「暑い時間」を過ごしました。
 長崎大学病院泌尿器科では、最先端の医療や高度な技術を提供するのは言うまでもなく、このような「真に」地域に貢献できる医療の推進と人材の育成も重要だと考えています。
 なお、今回の講演会の企画および実施、そして、議論の中で触れた長崎大学病院 泌尿器科学教室での研究は、『一般財団法人 杉浦地域医療振興財団』、『公益財団法人 一般用医薬品セルフメディケーション振興財団』より助成金を頂けたことで可能となったものです。 この場を借りて深く感謝申し上げます。
(文責:宮田康好)

第103回日本泌尿器科学会総会に参加いたしました。

2015年4月24日

 2015年4月18日~4月21日、第103回日本泌尿器科学会総会が金沢で開催されました。 長崎大学および関連病院の先生方から多くの演題発表がありました。まず長崎大学からの発表が以下です。

総会賞応募2題

  • 術前ホルモン療法が血管新生およびリンパ管新生に与える影響とその病理学的意義や予後との関連(宮田康好先生)
  • 骨盤臓器脱に随伴した過活動膀胱患者に関して、術前の超音波下膀胱壁厚の測定は術後の過活動膀胱症状の改善を予測できるマーカーになる可能性がある(松尾朋博先生)


一般口演3題

  • 尿路癌患者における化学療法の効果予測因子としてのHuman antigen R (HuR)発現の有用性に関する検討(宮田康好先生)
  • 腎細胞癌pT3aN0M0症例の再発・予後に関する臨床的検討(大庭康司郎)
  • 上部尿路癌患者における癌関連因子に喫煙が与える影響の検討(浅井昭宏先生)

一般ポスター 3題

  • 当院における前立腺癌骨転移に対するデノスマブの治療経験(計屋知彰先生)
  • 初回治療13年後に再発し、分子標的治療薬を含む集学的治療が奏効したXp11.2転座TFE3/ASPL遺伝子癒合腎細胞癌の1症例(鹿子木 桂先生)
  • 75歳以上の尿路癌患者に対する抗癌剤治療の検討(杠葉美樹先生)

また関連病院の先生方からは
古川正隆先生(佐世保総合病院)

  • 佐世保市立総合病院における前立腺がん地域連携パスの検討

光成健輔先生(日赤長崎原爆病院)

  • 前立腺癌におけるHuRの病理学的役割

学会ではその他にも多彩なテーマについて(特に酒井先生、錦戸先生、宮田先生が座長を務めたセッションでは)活発な議論を行うことができました。 また金沢の伝統文化、芸術にも触れ、夜には郷土料理や地元のお酒も堪能し、実りある充実した4日間でした。

泌尿器科歓迎会…新入局員は3名!

2015年4月24日

 2015年4月14日に、泌尿器科歓迎会を開催しました。4月より当科入局された3名の新人が医局に新しい風を吹き込んでくれています。 さらに6月初旬まで泌尿器科で研修を行う研修医、今月クリクラ実習を行う6年生、そして4月より関連病院から大学に異動になった先生が加わり、今泌尿器科はとても活気にあふれており、さらに泌尿器科を盛り上げてくれることが期待できそうです。
 この日は、みんなで料理とお酒を堪能し、泌尿器科の未来や抱負について熱く語り合い、交流を深めました。

ヨーロッパ泌尿器科学会(European Aassocaition of Urology, EAU)の年次総会で発表して・・・

2015年4月8日

 3月20日よりスペインのマドリッドで開催された「ヨーロッパ泌尿器科学会(European Aassocaition of Urology, EAU)の年次総会」に、尿路癌の化学療法に関する私の演題と、排尿障害に関する松尾先生の演題が採択されました。 昨年のUroUro通信にも書きましたが、この学会の演題採択率は 20%程度しかありません。私自身、この学会に採択され発表することを目標に頑張ってきましたが、松尾先生にとっては初めての発表でもあり、二人して期待と不安を胸に秘め、意気揚々と長崎空港から出発しました。
 今回は、羽田空港よりドイツのミュンヘンを経由してマドリッドに到着する旅程でしたが・・・・・、当日、某ドイツの航空会社のパイロットがストライキを行い・・・・・ミュンヘンからマドリッドへの飛行機が欠航となりました。 幸い、ミュンヘンまでは日本の航空会社(青い方!?)でしたが、その先の旅程が翌日まで含めて予約も取れない状況でした。しかも、その某ドイツの航空会社のカウンターで交渉しても、「振り替え便は、ホームページから自分たちで手配してください」、「仮に予約が取れたとしても、明日以降もストライキがあるという情報もあり(実際に翌日もストライキしました)、 乗れる確証はありません」、という『涙が出るほどありがたい』対応をして頂き、二人して羽田空港で電話とネットで振り替え便をあたりまくりました。しかし、刻々と羽田発ミュンヘン行きの飛行機の出発時間が近づき、青い航空会社のカウンターでもギリギリの対応をとって頂きましたが、結局、泣く泣く、EAUの参加および発表を断念しました。
 仕方ないので、二人で羽田空港で串揚げを食べながら、ビールと日本酒をたらふく飲んで、その日のうちに長崎に戻りました。それから数日間は、費用がかかっても、翌日以降に他の航路に変えて行けば良かったのでは・・・、デュッセルドルフやフランクフルト行きに変えて、マドリッドは無理でもバルセロナを起点に陸路という手もあったのでは、と後悔の念から夜中に目が覚めることもありました。 しかし、その帰国予定だった日に、その某ドイツの航空会社の子会社のバルセロナ発デュッセルドルフ行きの飛行機に「不幸な出来事」が起きてしまいました。結果的にEAUに行けなかったのも、何かの導きだったのかな・・・、と不思議な気持ちになりました。また、この場を借りて、事故の犠牲者の方々に哀悼の意を表します。
 なお、この写真は発表予定だったポスターです。来年も、再び採択を目指そうと二人して堅く決意したところです。医局員の皆さん、来年はドイツのミュンヘンです!一緒にドイツにウインナーとビールを飲みに行きましょう!!また、「青い日本の航空会社」の振り替え便の探索や、搭乗できなかった後の各種の対応などは120%満足のいくものでした。 羽田空港で打ちひしがれていた二人にとっては、本当にありがたく、救われる想いでした。最後になりましたが、心より感謝申し上げます。
   (文責:宮田康好)

2014年12月 XII International Symposium of HTLV in Brazil and IV Paulista Symposium of HTLVに参加・発表しました。

2015年3月11日

 去る2014年12月1-3日にブラジルのサンパウロでXII International Symposium of HTLV in Brazil and IV Paulista Symposium of HTLVが開催され、HTLV-1関連脊髄症(HAM)の世界的権威である長崎国際大学の中村龍文教授とともに当科より私、松尾が参加・発表しました。
 ブラジルの研究者のこの分野における最近のアクティビティは非常に高く、目を見張るものがあります。HAMの世界的研究者が一堂に会し、臨床・基礎両方向からHAM根絶に向け議論を交わし合い、とにかく熱い学会でした。
 私に関しては、これまでのHAM患者における排尿障害に関してのレビューとともに “Oral administration of prosultiamine results in symptom improvement in patients with overactive bladder due to HTLV-1-associated myelopathy/tropical spastic paraparesis”という演題でHAM患者に特有な過活動膀胱症状に関しての新薬の検討に関して発表しました。 HAM患者における排尿障害は患者さんのQOLに直接影響を与えることより、大きな注目を与えた演題になったと自負しています。
 また、学会主催者であるサンパウロ大学Jorge Casseb教授の研究室へご招待いただき、今後、HAMの分野で日伯共同での国際共同研究の実施へ向けて模索していこうということで盛り上がりました。
(文責:松尾朋博)

第48回日本臨床腎移植学会に参加・発表しました。

2015年2月16日

2015年2月4日~2月6日 日本臨床腎移植学会が名古屋で開催されました。
当科からは中西先生が腎移植後尿路合併症に関する症例報告、望月からは腎移植後急性拒絶反応に関する報告の2題の発表でした。
中西先生は若手とは思えぬ堂々とした発表ぶりで、質問にも卒なく対応していました。
錦戸先生、岩田先生も発表の指導や学会参加で会を盛り上げておられました。

また今回は腎臓内科の先生方も多く見受けられました。長崎医療センター腎臓内科の北村先生、川口先生の各先生方からも発表がありました。 特に今学会では移植内科医としての腎臓内科の必要性について多くディスカッションされていました。
移植医療における多職種連携の重要性について再認識させられました。
長崎医療センター松屋先生、長崎県移植コーディネーターの竹田さんも一緒に名古屋めしを囲みながら交流を深め、移植医療について熱く語り合いました。
(文責 望月)

「経済・経営専門誌」に執筆しました!

2015年1月21日

 この度、経済・経営専門誌、「医療経済評価の具体的活用法」(技術情報協会発行)に、「進行性尿路癌の治療からみた医療経済評価で考慮すべき事項と課題」というテーマで酒井教授と執筆しました。 これは同誌より執筆依頼を受けたものですが、最初は、経済や経営の“素人”である私が執筆してよいのか迷いました。しかし、酒井教授に相談したところ、「良い機会だから勉強してみたら」と勧めて頂いたこともあり、思い切って依頼を受けました。
 しかし、危惧していた通り執筆には困難も多く、酒井教授と二人して首を傾げながら議論を重ね、最終的に満足できる内容に仕上がりました。その執筆のために何百という経済学や経営学の論文や教科書を読み、医療経済学に関する講演を東京まで聴きに行くなど、医学論文の執筆にはない苦労もありました。 一方、今まで知らなかった知識に触れるうちに、それを楽しむ余裕もできてきました。そして、何より、医学や医療をこれまでとは全く異なる視点から見る良い機会になりました。 これまで、がん患者さんの治療では、「治療効果」や「安全性」に重点を置き、「医療経済」に目を向けることはほとんどなく、むしろ、正直言って、医療経済の視点からの議論は挑戦的な医療の実践を阻害するものと思っていました。
 しかし、今回の執筆を通じ、大学病院が担うべき「先進的な医療」を継続的に行うためにこそ、「医療経済」を知ることが重要であることがわかりました。今後は、「医療経済」も念頭に置きつつ、より高度で先進的、かつ、継続可能な治療を提供していきたいと思っています。
 「医療経済評価の具体的活用法」は、全480頁、8つの章で構成され、経済学や経営学の専門家を対象とした本で一般の書店では販売しておりません。もし購入などの希望がありましたら、宮田までご連絡ください。 また、研修医や医学部学生は言うまでも無く、経済や経営を勉強している学生の方で「医療経済学からみた泌尿器科診療」に興味をお持ちの方がいましたら、遠慮なく連絡ください。楽しくお話しや議論をしましょう!
・・・もちろん・・・一杯飲みながら!?
(文責:宮田康好)