医学部医学科の概要と特色

 長崎大学医学部医学科では,平成4年度から,教養教育と医学教育とを適切に組み合わせた6年一貫教育を開始しました。この新しく始められた6年一貫教育によって,医学部における修業年限6年の間に医師および医学研究者として必要な医学的知識,科学的考え方及び人間そのものを大切にするという観点を十分に学べるシステムを作っています。大学入学後,1年次に週3日,2年次に2日,文教キャンパスで教養教育カリキュラムに従って学びます。この教養教育は,一般社会人として必要な教養,知識,及び専門にこだわらない広い視野に立った物の見方を学ぶために,極めて重要なものです。教養教育には医学部の教員も多数参加しており,「総合科目」や「人間科学分野」等において人間の生命を科学的,倫理的,社会的等,多面的に論じる魅力ある講義を担当しております。また,この文教キャンパスでの生活は,医学を志す者のみならず,将来様々な分野で活躍する学友との交流を深める大切な機会を提供します。

 一方,坂本キャンパスでは,1年次に週2日,2年次に週3日,3年次以降は5日間の医学教育が行われます。1年次には「学部モジュール科目」で本学の歴史や近代医学の流れを学んで頂きます。「医と社会」では,大学病院において2日間若手医師と終日生活を共にし,さらに2日間,看護師の指導の下で実際に看護に携わり,チーム医療の姿や入院中の患者の立場を理解してもらい,医学・医療の姿,医師の務めについて考えてもらいます。2年次では,人体の構造,機能及び代謝について,講義や実習を通して立体的に学習し,基礎医学の知識を修得します。3年次から4年次にかけては先ず,疾患について全体的な知識を修得して,追って各々の疾患についての理解を深めます。また,2年次から4年次に亘り,研究室配属による課題探求型授業「医学ゼミ」があり,さらに3・4年次には「リサーチセミナー」として科学性及び医学的創造性を養う目的で,科学的思考や方法を基礎系の研究室において体験を通して修得します。4・5年次には主に外来・病室実習、離島実習を通して実践的な知識や医師としての職業的使命感を身に付けます。さらに5・6年次には高次臨床実習が行われます。これらの講義と実習は大学病院,原爆後障害医療研究所,先導生命科学研究支援センター,熱帯医学研究所のスタッフも参加して,系統的,包括的なカリキュラムに基づいて行われています。

 医学部6年間の課程を修了して卒業した者は,学士の学位が授与され,医師国家試験の受験資格が与えられます。卒業生は大学病院あるいは各地の病院などで,“臨床研修”を修了後に臨床各科(内科,外科等)を選択したり,大学院に入学したり、様々な道を歩むことになります。